a0,⋯,ana0,⋯,an が体 KK の要素で a0≠0a0≠0 のとき a0xn+a1xn−1+⋯+ana0xn+a1xn−1+⋯+an の形をした式を KK 内の次数 nn の多項式という。多項式の積と和は通常のように行なわれる*)。学校(中学校?高校?)で習った多項式を思い浮かべればいい。可約・既約についても、因数分解できるかできないかと考えれば難しくはありません。
*) 多項式 00 は通常の意味での次数をもたないが、nn より小さい次数の多項式全体の集合をとりあげたとき、00 もその集合の中に含めておくことにする(なお 00 の次数は −∞−∞ と定めてもよい)。[訳者注]KK 内の多項式は、それが KK 内の正の次数をもつ2つの多項式の積として表わされるとき可約であるといわれる。定数でない多項式が KK 内で可約でないとき、 KK 内で既約であるといわれる。
しかし、体の観点が必要であることは注意しなければなりません。『数学ガール/ガロア理論』より、ミルカさんに登場してもらいましょう。
「ともかく、ここで重要なのは可約・既約だ」とミルカさんが言った。「多項式の因数分解ができるかできないかを議論するとき、どの体で考えるかを明確にする必要がある」可約と既約について一通り理解できたところで次に進みましょう。
「どの体で……考えるか?」とユーリ。
「そう。それを明確にしないと、因数分解ができるともできないともいえなくなるからだ。たとえば、こんなクイズはどうだろう」
多項式 x2+1x2+1 は因数分解できるか?「因数分解できない!」とユーリが即座に答える。
「いえ」とテトラちゃんが言う。「こうすれば因数分解できます」
「いきなり ii とか?!」とユーリが言う。x2+1=(x+i)(x−i)x2+1=(x+i)(x−i)
「それが《体を明確にする必要性》だ」とミルカさんが言った。「係数を有理数体 QQ の範囲で考えるなら、x2+1x2+1 は因数分解できない。つまり既約だ。しかし、係数を複素数体 CC の範囲で考えるなら、x2+1x2+1 は二つの多項式 x+ix+i と x−ix−i に因数分解できる。つまり可約になる」
- 有理数体 QQ 上で、x2+1x2+1 は既約である。
- 複素数体 CC 上で、x2+1x2+1 は可約である。
『ガロア理論入門』ではこれからいくつかの多項式の性質について述べられています。ある程度理解できていることが多かったので、少し飛ばして次の補題を確認していきます。
補題 f(x)f(x) を KK 内の次数 nn の既約多項式とするとき、0と異なる2つの KK 内の多項式でそれらの次数が nn より小、しかもそれらの積は f(x)f(x) で割りきれるようなものは存在し得ない。
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