2019/12/12

証明に取り組む

エミール・アルティン『ガロア理論入門』第2章第3節で、証明を読者にまかされたところがある。
ここで E1E1 の2つの要素 g(ξ)h(ξ) に対して通常の積のほかに新しい乗法を定義し、それを g(ξ)×h(ξ) と表わす。すなわち g(ξ)×h(ξ) とは通常の積 g(ξ)h(ξ)f(x) を法とした剰余 r(ξ) のことと定義する。するとまず、g1(ξ), g2(ξ) , , gm(ξ) の積 g1(ξ)×g2(ξ)××gm(ξ) は通常の積 g1(ξ)g2(ξ)gm(ξ) の剰余に等しいことがわかる。この性質は m=2 のときは定義から明らかであり、任意の m に対しては次の性質と数学的帰納法とを用いて示される。その性質とは
g1(ξ)g2(ξ) の剰余をそれぞれ r1(ξ)r2(ξ) とすると g1(ξ)g2(ξ)r1(ξ)r2(ξ) とは同じ剰余をもつ”
ということである。この証明の詳細は読者にまかせよう。
この証明に取り組んでみよう。

もう少しスマートな証明方法、書き方があるかもしれないし、不足部分もあるかもしれない。


(以下、証明)

まず「g1(ξ)g2(ξ) の剰余をそれぞれ r1(ξ)r2(ξ) とすると g1(ξ)g2(ξ)r1(ξ)r2(ξ) とは同じ剰余をもつ」ということについて確認しておこう。

g1(ξ)g2(ξ) の剰余をそれぞれ r1(ξ)r2(ξ) とする。このときの商をそれぞれ q1(ξ)q2(ξ) とすると、除法のアルゴリズムにより g1(ξ)g2(ξ) は次のように書ける。
g1(ξ)=q1(ξ)f(ξ)+r1(ξ),g2(ξ)=q2(ξ)f(ξ)+r2(ξ)
g1(ξ)g2(ξ) を計算する。
g1(ξ)g2(ξ)={q1(ξ)f(ξ)+r1(ξ)}{q2(ξ)f(ξ)+r2(ξ)}=q1(ξ)f(ξ)q2(ξ)f(ξ)+q1(ξ)f(ξ)r2(ξ)+q2(ξ)f(ξ)r1(ξ)+r1(ξ)r2(ξ)=f(ξ){q1(ξ)q2(ξ)f(ξ)+q1(ξ)r2(ξ)+q2(ξ)r1(ξ)}+r1(ξ)r2(ξ)
右辺の f(ξ){q1(ξ)q2(ξ)f(ξ)+q1(ξ)r2(ξ)+q2(ξ)r1(ξ)}f(ξ) で割りきれる。r1(ξ)r2(ξ)f(ξ) で割ったときの剰余が g1(ξ)g2(ξ) の剰余となることがわかる。


続いて「g1(ξ), g2(ξ) , , gm(ξ) の積 g1(ξ)×g2(ξ)××gm(ξ) は通常の積 g1(ξ)g2(ξ)gm(ξ) の剰余に等しいこと」を数学的帰納法で証明する。

通常の積 g1(ξ)g2(ξ)gm(ξ)f(ξ) で割った商を Qm(ξ) 、剰余を Rm(ξ) とすると、除法のアルゴリズムにより次のように書ける。g1(ξ)g2(ξ) の剰余をそれぞれ r1(ξ)r2(ξ) とすると g1(ξ)g2(ξ)r1(ξ)r2(ξ) とは同じ剰余をもつことが示されているのでこのように書いても差し支えない。r1(ξ)r2(ξ) の剰余が R2(ξ)r1(ξ)r2(ξ)rm(ξ) の剰余が Rm(ξ) であると考えてもいい。
g1(ξ)g2(ξ)gm(ξ)=Qm(ξ)f(ξ)+Rm(ξ)
Rm(ξ) の次数は、f(ξ) の次数より小さい。
いま証明したいことは、 g1(ξ)×g2(ξ)××gm(ξ)=Rm(ξ) である。

定義より、m=2 のとき成り立つことは明らかである。

m=k のとき、g1(ξ)×g2(ξ)××gk(ξ)=Rk(ξ) が成り立っていると仮定する。

m=k+1 のとき、g1(ξ)×g2(ξ)××gk(ξ)×gk+1(ξ) は、帰納法の仮定より次のように書ける。
g1(ξ)×g2(ξ)××gk(ξ)×gk+1(ξ)=Rk(ξ)×gk+1(ξ)
定義より、Rk(ξ)×gk+1(ξ) は、Rk(ξ)gk+1(ξ) の剰余である。

除法のアルゴリズムより、
g1(ξ)g2(ξ)gk(ξ)=Qk(ξ)f(ξ)+Rk(ξ)g1(ξ)g2(ξ)gk(ξ)gk+1(ξ)=Qk+1(ξ)f(ξ)+Rk+1(ξ)
であるので、
{Qk(ξ)f(ξ)+Rk(ξ)}gk+1(ξ)=Qk+1(ξ)f(ξ)+Rk+1(ξ)
がいえる。これを式変形すると、
{Qn(ξ)f(ξ)+Rn(ξ)}gk+1(ξ)=Qk+1(ξ)f(ξ)+Rk+1(ξ)Qn(ξ)f(ξ)gk+1(ξ)+Rk(ξ)gk+1(ξ)=Qk+1(ξ)f(ξ)+Rk+1(ξ)Rk(ξ)gk+1(ξ)=f(ξ){Qk+1(ξ)Qk(ξ)gk+1(ξ)}+Rk+1(ξ)
となり、Rk(ξ)gk+1(ξ) の剰余は Rk+1(ξ) であることがわかる。つまり Rk(ξ)×gk+1(ξ)=Rk+1(ξ) であり、g1(ξ)×g2(ξ)××gk(ξ)×gk+1(ξ)=Rk+1(ξ) が成り立つ。

以上より、数学的帰納法により、g1(ξ), g2(ξ) , , gm(ξ) の積 g1(ξ)×g2(ξ)××gm(ξ) は通常の積 g1(ξ)g2(ξ)gm(ξ) の剰余に等しいことがいえる。


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