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2019/12/04

解の公式とラグランジュ・リゾルベント(1)

3次方程式の解の公式を導く際に、ラグランジュ・リゾルベント(ラグランジュの分解式)というものを使いました。
{L=ωα+ω2β+γR=ω2α+ωβ+γ
ラグランジュ・リゾルベントによる3次方程式の解の公式の導出の流れを大まかにいうと、
  • 解を L,R で表した
  • L3+R3,L3R3 を係数で表した
  • L3,R3 を係数で表した
  • L,R を係数で表した
という流れです。

ざっくりというと、解の公式というのは、解を係数を使って表したものです。

2次方程式の場合は、2次方程式を式変形していくことで解の公式とすることができました。3次方程式の場合は式変形だけではうまくいかなかったので、補助的な L,R を使いました。L,R を係数を使って表すことができたので、解が係数を使って表すことができたということです。

では、このラグランジュ・リゾルベントは、どのような性質を持っているのでしょうか。

と書いてしまうと、このブログ内に答えが載っているように読んでしまいがちですが、このブログはノートみたいな役割で使っているので悪しからず。

ラグランジュ・リゾルベントは3次方程式の解の公式の導出だけでなく、4次方程式の解の公式の導出にも使われているらしいです。

また、n次方程式のラグランジュ・リゾルベントとして、一般化もなされています。
n 次方程式のラグランジュ・リゾルベント
Ln(k)=nj=1ζkjnαj=(ζkn)1α1+(ζkn)2α2++(ζkn)nαn
  • k=1,2,3,,n
  • ζn1 の原始 n 乗根
  • α1,α2,α3,,αnn 次方程式の解
3次方程式の場合をみてみましょう。

3次方程式ですので、n=3、そして 1 の原始 3 乗根を ω として、一般化された式に入れてみます。
L3(k)=3j=1ωkjαj=(ωk)1α1+(ωk)2α2+(ωk)3α3
  • k=1,2,3
  • ω1 の原始 3 乗根
  • α1,α2,α33 次方程式の解
具体的には、
L3(1)=(ω1)1α1+(ω1)2α2+(ω1)3α3L3(2)=(ω2)1α1+(ω2)2α2+(ω2)3α3L3(3)=(ω3)1α1+(ω3)2α2+(ω3)3α3
ここでは3次方程式の解を α1,α2,α3 としていますが、 α,β,γ とすれば、
L=L3(1)=ωα+ω2β+γR=L3(2)=ω2α+ωβ+γL3(3)=α+β+γ
であることが確認できます。ちなみに L3(3) は3次方程式の解と係数の関係に出てくる式です。


では、2次方程式のラグランジュ・リゾルベントをみてみましょう。n=21 の原始 2 乗根は 1 です。
L2(1)=(1)1×1α1+(1)1×2α2=α1+α2L2(2)=(1)2×1α1+(1)2×2α2=α1+α2
L2(2) は2次方程式の解と係数の関係に出てくる式ですね。3次方程式のラグランジュ・リゾルベントは解の公式を導くための補助となりましたが、2次方程式のラグランジュ・リゾルベントはどうでしょうか。

3次方程式の解の公式の導出では、L3,R3 を求めました。L3,R3 を係数を使って表したということです。今回2次方程式ですので、L2(1) を2乗して係数で表してみましょう。2次方程式 x2+px+q=0 の解を α,β として、
(L2(1))2=(α+β)2=α22αβ+β2=(α+β)24αβ=(p)24q=p24q
何の断りもしませんでしたが、途中、2次方程式での解と係数の関係( α+β=p, αβ=q)を使いました。

(L2(1))2=p24q とわかりましたが、この p24q は2次方程式 x2+px+q=0 の判別式です。2次方程式 x2+px+q=0 の解の公式を書くと、
x=p±p24q2
ですので、根号の中身です。つまり、次のようにも書けます。
x=p±(L2(1))22
ついでに書くと、解と係数の関係から α+β=p で、L2(2)=α+β ですので、
x=L2(2)±(L2(1))22=L2(2)±L2(1)2
2つの解を明示的に書くと、αL2(2)L2(1)2 に、βL2(2)+L2(1)2 に対応していることがわかります。
α=L2(2)L2(1)2=α+β(α+β)2β=L2(2)+L2(1)2=α+β+(α+β)2

似たようなことが3次方程式の場合にも当てはまるかもしれません。

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