問題2-1 体K 上のベクトル空間V においてベクトル空間(左ベクトル空間)の定義は以下。
(1) a0=0、(-1)a=-a を証明せよ。
(2) aa=0 ならば a=0 または a=0 であることを証明せよ。
V を加群とし、その要素を a, b, … で表わす。また K を体とし、その要素を a, b, … で表わす。このとき K の任意の要素 a と V の任意の要素 a に対し V の要素 aa が定義されていて、次の条件が満たされているならば、V を K 上の左ベクトル空間という。前回、0a=0 の証明があったので、それも見ておく。
- a(a+b)=aa+ab
- (a+b)a=aa+ba
- a(ba)=(ab)a
- 1a=a
aa=(a+0)a=aa+0a
∴0a=0
まずは問題2-1の(1) a0=0 について。僕の解答。
aa=a(a+0)=aa+a0本での解答は以下。
∴a0=0
a0=a(0+0)=a0+a0 から a0=0これはOKだろう。
続いて、(-1)a=-a について。少し工夫が必要そうだ。文字式に慣れていると当たり前のことのように思うが、ここでわかっていることは、空間ベクトルの定義(公理)だけである。それとこれまでに証明した 0a=0、a0=0 は使える。
(-1)a=-a の左辺 (-1)a は、V の要素 aa として定義されているかたちだ。では、右辺の -a はどうだろう。難しく考えすぎだろうか。本の解答を見る。
a+(-1)a={1+(-1)}a=0a=0 から (-1)a=-aなるほど、a の属する V は加群、つまり、加算に関する可換群なので、a の逆元 -a が存在することを利用したのだろう。
次は問題2-1の(2)、aa=0 ならば a=0 または a=0 であることの証明。a=0 ならば 0a=0、そして、a=0 ならば a0=0 はここまでに証明したことにある。今回はその逆の証明だ。さて、どうする。
思いつかず、解答を見る。
aa=0 で a≠0 とすると、K の中に a-1 が存在する。なるほど、今度は K の中に、乗算に関して0以外の要素に逆元a-1 が存在することを利用したのか。
a-1(aa)=(a-1a)a=1a=a, a-10=0から a=0 となる。
普段(とはいってもほとんどない、が)は文字式の計算を何気なくしているが、当たり前にしていることを証明するのはなかなか難しい。
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