2019/12/10

代数的要素

エミール・アルティン『ガロア理論入門』第2章第3節「代数的要素」に入ります。

僕にとって、もう少ししっかりと押さえておきたいところです。

まずは「代数的」とはどのようなことか、の説明から入ります。
\( K \) を体とし、\( E \) を \( K \) の拡大体とする。\( \alpha \) を \( E \) の要素とするとき、\( K \) 内に係数をもつ多項式で \( \alpha \) を根にもつものが存在するかどうかを問題にする。もしそのような \( 0 \) でない多項式が存在するならば、\( \alpha \) は \( K \) 上で代数的であるという。
有理数体でみてみましょう。たとえば \( sqrt{2} \) は、有理数係数の多項式 \( x^2-2 \) の根となりますので、有理数体上で代数的です。\( sqrt{2} \) は無理数ですので、有理数体の要素ではありませんが、その拡大体(たとえば実数体)の要素です。有理数体上で代数的な要素を代数的数といいます。上記引用では有理数体に限らず一般的な体となりますので、代数的数の説明ではありませんが、代数的数が理解できれば、代数的であるということの理解はそう難しくないと思います。

ちなみに代数的数でない数を超越数といいます。言い換えると、有理数係数の多項式の根とならない数です。たとえば円周率の \( \pi \) は超越数です。

アルティンの『ガロア理論入門』は、代数的の説明のあと、その代数的要素をもつ多項式についての説明に移ります。
\( \alpha \) が \( K \) 上代数的のとき、\( \alpha \) を根にもつ \( K \) 内の \( 0 \) でない多項式の中で最低次数のものを選び、次にそれに適当な \( K \) の要素をかけて、その最高次の係数を \( 1 \) にしたものをつくり、これを \( f(x) \) で表わす。するとこの多項式 \( f(x) \) について、次の3つの性質がなりたつ。
  1. \( g(x) \) を \( g( \alpha ) = 0 \) のような \( K \) 内の多項式とすると \( g(x) \) は \( f(x) \) で割りきれる。
  2. \( f(x) \) は \( K \) 上既約である。
  3. \( f(x) \) は上のつくり方のもとで一意的に定まる。
アルティンの本には載っていませんが、このような \( f(x) \) を最小多項式といいます。

たとえば先ほどの \( \sqrt{2} \) の有理数体上の最小多項式は \( x^2-2 \) です。 \( x^2-2 \) は、有理数係数の \( 0 \) でない多項式で、 \( \sqrt{2} \) を根にもつ多項式の中で最低次数であり、その最高次の係数は1となりますので条件にあてはまります。

\( \sqrt{2} \) を根にもつ多項式はたくさんあります。\( x^2-2 \) はもちろん、他にたとえば \( 2(x^2 -2) \) や \( ( x - 1) ( x^2 -2 ) \) なども \( \sqrt{2} \) を根にもつ多項式です。\( \sqrt{2} \) を根にもつ多項式の中で、最低次数(この例では2次)で、最高次の係数が1である多項式が最小多項式です。

1次の多項式で \( \sqrt{2} \) を根にもつ多項式に、\( x - \sqrt{2} \) がありますが、これは有理数係数の多項式ではありません。

この最小多項式の性質を3つ挙げています。そしてその証明もありますので、次回取り上げたいと思います。

代数的
\( K \) を体、\( E \) を \( K \) の拡大体とする。\( \alpha \) を \( E \) の要素とする。
\( K \) 内に係数をもつ多項式で、 \( \alpha \) を根にもつ \( 0 \) でない多項式が存在するとき、\( \alpha \) は \( K \) 上で代数的であるという。
最小多項式
\( \alpha \) が \( K \) 上代数的のとき、\( \alpha \) を根にもつ \( K \) 内の \( 0 \) でない多項式の中で、最低次数の多項式で、その最高次の係数が \( 1 \) である多項式を \( \alpha \) の \( K \) 上の最小多項式という。

1 件のコメント:

  1. 数哲句(「肉中の哲学」)2023/12/13 10:57

     ≪…代数的数が理解…≫を、『離散的有理数の組み合わせによる多変数関数』の『存在量化確度方程式』と『存在量化創発摂動方程式』の帰結からの[1]の存在量化(∃)から、数学の基になる数の言葉ヒフミヨ(1234)が、平面(2次元)からの送りモノとして眺めると、直交座標や極座標を既にモチ合わせているようだ・・・
     
     ヒフミヨは獺の祭りの並べ方 
     

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