\( K \subset E \) で、体 \( K \) 上の代数的な \( E \) の要素 \( \alpha \) の最小多項式 \( f(x) \) の性質を確認し、いまは次のような要素 \( \theta \) のつくる \( E \) の部分集合 \( E_0 \) が体であり、\( K ( \alpha ) \) であることを示そうとしています。そのために、 まずは \( E_0 \) を模写した \( E_1 \) が体であることを示そうとしています。 \( E_1 \) に体の乗法として新しい乗法を定義し、\( E_1 \) が体の定義に当てはまるかどうかの確認をしているところです。
ここでわれわれは古い意味の乗法を完全にやめることにして、新しい乗法だけを扱うことにする。また、記号をかえて新しい乗法を点(または並べておくだけ)を用いて表わすことにする。新しい乗法を定義した上で、体の公理(定義)に当てはまるかどうかを確認し、そのほとんどの確認ができました。残るは、乗法に関して、0以外のすべての要素について逆元が存在することを示すことです。次のことはそのことを表わしていると思われます。
このような意味で演算
$$
c_0 + c_1 \xi + \cdots + c_{n-1} \xi ^{n-1}
$$
の結果を考えてみると、次数が \( n \) より小さいので、演算の結果ははじめからこの形に表わされている \( E_1 \) の要素に一致する。また
$$
\xi ^n = -a_{n-1} \xi ^{n-1} - a_{n-2} \xi ^{n-2} - \cdots - a_0
$$
であるから、移項して \( E_1 \) 内で \( f( \xi ) = 0 \) のなりたつことがわかる。
以上のようにして、集合 \( E_1 \) をつくり、次にその中で加法と乗法をつくり、この演算について、体の公理がほとんど満たされていることがわかった。さらに \( E_1 \) は \( K \) を部分体に含み、方程式 \( f( \xi ) = 0 \) を満たす要素を含んでいる。
ここで、 \( E_1 \) が体であることを示すために \( E_1 \) の2つの要素 \( g( \xi ) \neq 0 \) と \( h( \xi ) \) が与えられたとき逆元とは、次のような要素です。
$$
g( \xi ) X( \xi ) = h( \xi )
$$
となるような \( E_1 \) の要素
$$
X( \xi ) = x_0 + x_1 \xi + \cdots + x_{n-1} \xi ^{n-1}
$$
が存在することを示さねばならない。
逆元の定義(逆元の公理)
\( a \) を集合 \( G \) の要素とし、\( e \) を単位元とする。\( a \) に対して、以下の式を満たす \(b \in G \) を、演算★に関する \( a \) の逆元と呼ぶ。
$$
a★b = b★a = e
$$
\( g( \xi ) X( \xi ) = h( \xi ) \) となるような \( X( \xi ) \) が存在することを示すことが、なぜ、乗法に関して0以外のすべての要素について逆元が存在することを示すことになるのか。次はそこを考えてみます。\( a \) を集合 \( G \) の要素とし、\( e \) を単位元とする。\( a \) に対して、以下の式を満たす \(b \in G \) を、演算★に関する \( a \) の逆元と呼ぶ。
$$
a★b = b★a = e
$$
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