たとえば、 a+b という式がある。その式の a と b を交換すると b+a という式になるが、これはもとの式 a+b と等しい。この a+b のように、 a と b を交換しても変わらない式を対称式という。 a+b は、 a と b の対称式である。
a−b は、対称式ではない。なぜなら、 a と b を交換した b−a は、もとの式 a−b とは違う。なので、a−b は、対称式ではない。
a−b は、対称式ではないが、(a−b)2 は対称式である。なぜなら、a と b を交換した (b−a)2 は、もとの式 (a−b)2 と等しいからである。
a と b の対称式の例をいくつか挙げてみよう。右側には a と b を交換した式を載せている。
aとbの対称式の例左のaとbを交換した式a+bb+aabba(a−b)2(b−a)2ab+(a−b)2+2a3b2+2a2b3ba+(b−a)2+2b3a2+2b2a3
対称式のなかで、とくに、a+b , ab を基本対称式という。a+b , ab は、a と b の基本対称式である。これまでは a と b の2変数の対称式をみてきた。3変数や4変数など、変数がいくつあっても対称式は存在する。基本対称式も存在する。
1変数~4変数での基本対称式は次のとおり。
1変数(a)a2変数(a,b)a+b,ab3変数(a,b,c)a+b+c,ab+bc+ca,abc4変数(a,b,c,d)a+b+c+d,ab+ac+ad+bc+cd+cd,abc+abd+acd+bcd,abcd
対称式は基本対称式で表すことができるという対称式の基本定理というものが知られている。証明したのはニュートンらしい。たとえば、(a−b)2 は a と b の対称式であるので、基本対称式 a+b , ab を使って表すことができる。
(a−b)2=a2−2ab+b2=(a2+2ab+b2)−4ab=(a+b)2−4ab
ab+(a−b)2+2a3b2+2a2b3 も基本対称式で表すことができる。ab+(a−b)2+2a3b2+2a2b3=ab+(a2−2ab+b2)+2a3b2+2a2b3=(a2+2ab+b2)−3ab+2a2b2(a+b)=(a+b)2−3ab+2(ab)2(a+b)
例として2変数の対称式しか挙げていないが、対称式の基本定理は変数がいくつあっても成り立つ。
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