2019/12/17

2次方程式の判別式

2次方程式 \( ax^2 +bx + c = 0 ( a \neq 0 ) \) の解の公式、
$$
x = \frac{ -b \pm \sqrt{ b^2 - 4ac }}{ 2a }
$$
の根号(ルート)の中身である \( b^2 - 4ac \) は、2次方程式の判別式と呼ばれる。判別式のことを英語で discriminant というので、判別式は \( D \) で表記されることが多い。
$$
D = b^2 - 4ac
$$
判別式が何を判別しているのかというと、解がどのようなものなのかを判別している。

ここでは、2次方程式 \( ax^2 +bx + c = 0 \) の係数 \( a, b, c \) は有理数としよう。またこの2次方程式の解を \( \alpha , \beta \) とする。

2次方程式の判別式 \( D \) は、最初に述べたように、2次方程式の解の公式にある根号(ルート)の中身である。 \( D = 0 \) であれば、\( \sqrt{D} = 0 \) となり、解は
$$
x = \frac{ -b \pm 0 }{ 2a } = - \frac{ b }{ 2a }
$$
となる。2次方程式は基本的に2つの解をもつが、このときの解は1つである。解が1つというのは \( \alpha = \beta \) のときであると考えて、重解をもつという。\( D = 0 \) であれば、重解をもつ。ここでは係数は有理数であるので、解 \( - \frac{ b }{ 2a } \) も有理数である。

\( D \gt 0 \) のときは、2つの実数解をもつ。係数 \( a, b, c \) が有理数であっても根号が残るので、解は実数となる。ただし、\( D \) が平方数であれば根号がはずれ、解が有理数となる。

\( D \lt 0 \) のときは、2つの虚数解をもつ。根号の中身がマイナスとなるので、実数範囲では解なしとなる。

四則演算ができる数の集合を体という。また係数が属する体を係数体と呼ぶ。

係数体が有理数体であるとき、\( D = 0 \) であれば解も係数体である有理数体に属する。また \( D \) が平方数であるときも解は有理数体に属する。\( D \) が平方数でなく、\( D \gt 0 \) のときは、有理数範囲では解なしとなる。解は、係数体である有理数体ではなく、実数体に属する。\( D \lt 0 \) のときは実数体にもなく、解は複素数体に属する。

判別式は差積で定義されている。2次方程式の解の差積は \( \alpha - \beta \)(あるいは \( \beta - \alpha \))である。差積は \( \Delta \) で書かれることが多い。この差積 \( \Delta \) を2乗して、解と係数の関係を使って係数で表すと、
$$
\begin{eqnarray}
\Delta ^2 = ( \alpha - \beta )^2 &=& \alpha ^2 - 2 \alpha \beta + \beta ^2 \\
&=& ( \alpha ^2 + 2 \alpha \beta + \beta ^2 ) - 4 \alpha \beta \\
&=& ( \alpha + \beta ) ^2 - 4 \alpha \beta \\
&=& \left( - \frac{b}{a} \right ) ^2 - 4 \left( \frac{c}{a} \right ) \\
&=& \frac{b^2}{a^2} - \frac{4c}{a} \\
&=& \frac{ b^2 - 4ac }{a^2}
\end{eqnarray}
$$
と、分子に判別式 \( b^2 - 4ac \) が現れる。

2次方程式 \( ax^2 +bx + c = 0 \) の両辺を \( a \) で割って、 \( x^2 + \frac{b}{a}x + \frac{c}{a} = 0 \) とし、\( p = \frac{b}{a}, q = \frac{c}{a} \)とすると、\( x^2 + px + q = 0 \) と書ける。解は \( \alpha , \beta \) で変わらない。

この2次方程式 \( x^2 + px + q = 0 \) での解の公式は、
$$
x = \frac{ -p \pm \sqrt{ p^2 - 4q }}{ 2 }
$$
となり、判別式は \( D = p^2 - 4q \) となる。また、差積 \( \Delta ^2 \) は、
$$
\begin{eqnarray}
\Delta ^2 = ( \alpha - \beta )^2 &=& ( \alpha + \beta ) ^2 - 4 \alpha \beta \\
&=& ( - p ) ^2 - 4q \\
&=& p^2 - 4q
\end{eqnarray}
$$
となり、判別式に一致する。

重解をもつときは \( \alpha = \beta \) のときであり、言い換えると、 \( \alpha - \beta = 0 \) のときである。判別式 \( D = \Delta ^2 \) であればよくわかる。また \( \alpha, \beta \) が有理数であれば、\( \Delta = \alpha - \beta \) も有理数となり、\( D = \Delta ^2 \) は有理数の平方数となることもよくわかる。

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