乗法と加法とよばれる2つの演算が定義されている集合を体という。
――エミール・アルティン『ガロア理論入門』
体の定義に関しては、『数学ガール/フェルマーの最終定理』にまとまっていたので、これと、『ガロア理論入門』での体の説明とを確認しながら読み進めていきたいと思います。
体の定義(体の公理)一方、『ガロア理論入門』では、以下のように書かれています。
以下の公理を満たす集合を体と呼ぶ。
- 演算+(加法)に関して――
- 閉じている
- 単位元が存在する(0と呼ぶ)
- すべての要素について結合法則が成り立つ
- すべての要素について交換法則が成り立つ
- すべての要素について逆元が存在する
- 演算×(乗法)に関して――
- 閉じている
- 単位元が存在する(1と呼ぶ)
- すべての要素について結合法則が成り立つ
- すべての要素について交換法則が成り立つ
- 0以外のすべての要素について逆元が存在する
- 演算+と×に関して――
- すべての要素について分配法則が成り立つ
――結城浩『数学ガール/フェルマーの最終定理』
正確にいえば、体とは、まず加法についてアーベル群をなし、次に零を除いた残りが乗法について群をなし、しかも2つの群演算が分配法則によって結びつけられている集合である。ここでは体について3つのことが書かれています。「加法についてアーベル群をなす」こと、「零を除いた残りが乗法について群をなす」こと、「2つの群演算が分配法則によって結びつけられている」ことの3つです。
――エミール・アルティン『ガロア理論入門』
群についての定義も『数学ガール/フェルマーの最終定理』から引用しておきます。
群の定義(群の公理)そして、任意の元について交換法則を満たす群がアーベル群です。可換群ともいいます。アーベルは数学者の名前です。
以下の公理を満たす集合Gを群と呼ぶ。
- 演算★について閉じている。
- 任意の元に対して、結合法則が成り立つ。
- 単位元が存在する。
- 任意の元に対して、その元に対する逆元が存在する。
――結城浩『数学ガール/フェルマーの最終定理』
『ガロア理論入門』での記述と、『数学ガール/フェルマーの最終定理』での記述はほぼ同じ内容を指しています(定義ですので当然といえば当然です)。1点違っているのは、『ガロア理論入門』の方では、乗法についての可換性(交換法則)を仮定していないことです。乗法について可換であるような体を可換体といい、乗法についての可換性がなりたたない体を斜体としています。
以上が体についての定義ですが、定義だけではイメージしにくいので、体の具体例を見ていきたいと思います。
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