2017/04/13

ことごとくキリギリス

なんのはずみか知らないが、「ことごとく」という漢字は「キリギリス」の漢字に似ていた、と思った。別に「ことごとく」という漢字はどのような漢字だったかと考えていたわけではない。

理由はわからないが、思ってしまっては気になってしまうので、スマホで「ことごとく」を変換してみた。「尽く」と「悉く」が出てくる。「キリギリス」に似た方は「悉く」の方であると確認した。

一方、「キリギリス」の方はスマホの文字変換では出てこない。スマホのブラウザを立ち上げ、検索ワードに「キリギリス 漢字」と入力した。検索結果に「蟋蟀」と「螽斯」が出てきた。「悉く」に似ているのは「蟋蟀」の方である。「蟋蟀」の「蟋」という漢字は、虫偏に「悉く」と書く。

ところが、検索結果のいくつかには、この「蟋蟀」という漢字は「コオロギ」とも読むことが書かれていた。そういわれてみれば、「蟋蟀」は「コオロギ」と読むような気がしてきた。

検索の結果で出てきたサイトを少しずつ見ていくと、次の記事に出会った。NIKKEI STYLEの「コオロギは昔キリギリスだった? 虫の呼び名の謎」という記事である。
つまり、古くはコオロギのことをキリギリスと呼び、キリギリスのことをハタオリと呼んでいたというのだ。
記事ではこのあと、ハタオリの鳴き声から、ハタオリがキリギリスという名に変わったのではないかと推理し、以下のように結んでいる。
現在のコオロギのことを指していたキリギリスという言葉がハタオリの呼び名に移行したとすると、コオロギのことを指す言葉がなくなってしまうことになる。そこで奈良時代には鳴く虫の総称を意味した「コオロギ」という言葉がコオロギを指す代わりの言葉になり、呼び名が「キリギリス→コオロギ」と変化したという推理が成り立ちそうだ。

「コオロギ」という言葉は、奈良時代には鳴く虫を総称していたという。

「コオロギ」は漢字で「蟋蟀」と書く。「蟋蟀」の「蟋」という漢字は、虫偏に「悉く」と書く。ことごとくの虫が「蟋」である。

「キリギリス」の漢字には「蟋蟀」と「螽斯」がある。「キリギリス」を漢字で書くことがあれば、用途によって使い分けることが望ましい。

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