2017/04/15

逃げるは恥だが役に立つ

最近、SNS上で以下の動画(を含む記事)をよく見かける。2歳児のトロッコ問題の解答案である。



トロッコ問題とは、倫理上の思考実験である。

以下はGIZMODE「ついに思考実験「トロッコ問題」に決着。2歳児が出した衝撃の答えとは…」にあったトロッコ問題の概要である。
線路を走っているトロッコが制御不能に。このままでは、線路上で作業中の5人がトロッコに轢き殺されてしまう。
そしてあなたは、線路の分岐器の近くにいる。トロッコの進路を切り替えれば5人は助かるが、切り替えた先にも1人の作業員が。
5人を助けるために、1人を犠牲にしていいのか? それとも運命としてそのまま見過ごすべきなのか。

Wikipedia「トロッコ問題」を見ると、派生問題も載っていた。

トロッコ問題とは異なるが、これと似た問題として、漫画『金田一少年の事件簿』に「○○○○○○(カタカナ6文字)の板」というのがあったなと思っていたら、先のWikipedia「トロッコ問題」の関連項目に載っていた。

カルネアデスの板」である。この項に『金田一少年の事件簿』のことも言及されていて、こんなことまで書かれているのかと少し驚いた。

トロッコ問題について、いつだれが最初に考えたのかは調べていないが、最近取り上げられている(ように見える)のは、人工知能(AI)あるいはロボットの技術が進んできたからではないかと思っている。人工知能に倫理観を学習させることができるのか、あるいは、トラブルがあった場合に人工知能がどのような判断をするのか、などということが議論研究されているように思う。

トロッコ問題は、解決すべき問題というわけではなく、議論をするための出発点である。道徳的な観点から人間を知ることにつながっている。人工知能の研究からも様々な知見が得られると思う。

『金田一少年の事件簿』のなかで、主人公の金田一は「カルネアデスの板」の状況に置かれたらどうするかと問われた。手元に漫画がなく間違って記憶しているかもしれないが、「2人とも助かる方法を考える」という回答だったと思う。トロッコ問題でいうと、6人(5人+1人)とも助かる方法を考える、という回答である。思考実験の前提を無視した回答である。

しかし、現実問題としてトロッコ問題が発生した場合、分岐器を動かす(動かさない)以外のこともできるであろう。そして、トロッコ問題が現実に起きないような仕組みも考えることができる。

トロッコ問題の回避策を考えるほうが容易い。

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