2019/11/06

引き続き有限体Fpについて(フェルマーの小定理)

前回具体例として挙げた、有限体F2、F3、F5、F7で、問題と解説にあった内容を確認したいと思います。任意の要素ということなので、まずは全ての要素についてxq=xを確認していきます。
問題1-4
有限個の要素からなる体を有限体という。有限体Kがq個の要素をもてば、Kの任意の要素xはxq=xを満たすことを証明せよ(実は有限体はすべて可換であることが証明される)。
(解答)
0を除くq-1個の要素は乗法に関して位数がq-1の群をつくる。よってx≠0のときxq-1=1。よってxq=x。x=0もこれを満たす。

2={0, 1}
02=0
12=1
3={0, 1, 2}
03=0
13=1
23=2 (mod 3)
5={0, 1, 2, 3, 4}
05=0
15=1
25=2 (mod 5)
35=3 (mod 5)
45=4 (mod 5)
7{0, 1, 2, 3, 4, 5, 6}
07=0
17=1
27=2 (mod 7)
37=3 (mod 7)
47=4 (mod 7)
57=5 (mod 7)
67=6 (mod 7)
確かに、有限体F2、F3、F5、F7において、任意の要素xq=xを満たします。mod の性質が絡んでいるようですね。

そこで、mod に関する定理とかに何かxq=xのようなものはないかと探したところ、「フェルマーの小定理」が見つかりました(参考:高校数学の美しい物語「フェルマーの小定理の証明と例題」)。
フェルマーの小定理:
p が素数,a が任意の自然数のとき
ap ≡ a mod p
特に p が素数で,a が p と互いに素な自然数のとき
ap−1 ≡ 1 mod p
あ、先の要素ごとの計算、書き方まずかったですかね。mod では「=(イコール、等号)」ではなく「≡」を使います。「≡」は何と読むか知りませんが、"合同(ごうどう)"と入力して変換すると出てきます。等号(=)を使った式を等式といいますが、合同(≡)を使った式を合同式といいます。

フェルマーの小定理の証明は、参考したサイトに掲載されているので、ここでは省略。

有限体F2、F3、F5、F7について、xq=xを具体的に確認しましたが、これは 7 より大きな素数での有限体Fpにもあてはまります。

問題1-4の「有限体Kがq個の要素をもてば、Kの任意の要素xはxq=xを満たす」ということは、「有限体Kがq個の要素をもてば、Kの任意の要素xはフェルマーの小定理を満たす」とも言えそうです。

ということは、有限個の要素からなる体は、有限体Fp、つまり素数 p を法とした剰余環 Z/pZ となる、ということを言っているのかもしれません。

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