2017/03/01

名前に思いを乗せる


縁あって、岐阜県大垣市にある現代設計事務所さんと親しくさせていただいている。写真は昨年(2016年)できた看板で「芝生マン」と呼ばれている。愛嬌があり親しみやすく、つい触りたくなる。会社自体も、真面目ではあるが、遊び心もしっかりと持っていて、楽しみながら仕事をしている。センスがいい。近年は設計だけではなく、住宅のリフォームや古民家の再生なども手がけている。

先日伺ったとき、社長から社名の由来を聞いた。「現代設計事務所」という名前をつけた理由である。

社長は約30年前、務めていた名古屋市にある会社を辞めて、出身地である大垣市で独立した。現代設計事務所の設立は1988年11月である。名前をつけるにあたり、まず考えたことは「自分の名前をつけたくなかった」ということであった。「○○設計事務所」のように代表者の名字を入れた社名はよく見るが、独立した当時には顧客はおらず、自分の名前で顧客が来るとは思わなかったらしい。そして他の設計事務所の名前を見ると、名字がついているもの以外では、「未来」や「カオス」などがあった。なぜか「現代」がない。そこで「現代設計事務所」と名づけたということであった。

名前をつけるという行為はいたるところにある。産まれた子供に名前をつける、ペットに名前をつける、愛着のあるものに名前をつける。プロジェクトにも名前をつけるし、コンセプトやキャッチフレーズも名前をいえば名前だろう。そしてそこには名づけた人の思いがある。

子供の名前がわかりやすいだろう。産まれる前からどのような名前にしようか考える。どのような子に育ってほしいか、声に出したときの響きはどうか、運勢のいい画数にしたいなど、様々なことを考える。名づけ親の思い、価値観が込められる。そして名前を呼ぶたび、呼ばれるたびに、その思いに触れる。思いを乗せる。

言霊といわれるものはこのようなものだと思っている。

現代設計事務所の社名も同じである。まだ説明しきれていない思いもあると思う。説明できない思いもあると思う。社長だけでなく、社員やこれまでかかわってきた人たちすべての思いも乗っている。「現代」も「設計」も「事務所」も固有名詞ではない。それぞれの言葉の言霊もある。経営理念は「縁を育む」。これらの名前、言葉の思いも乗っている。

私は現代設計事務所という社名に「現代というこの時代を設計していく会社」という思いを勝手に持っている。いま現在だけでなく、これまでもこれからも含めた現代という時代を設計していく会社という意味である。現代設計事務所にその思いを乗せる。

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