2017/04/06

アイデアの種

ほうれん草を育てるように、報連相を育てることはできないか。思いつきから考えていることは重々承知であるが、まだしつこく考えている。

Wikipediaに「報・連・相」の項があったので読んでみた。現時点(2017年4月6日時点)での記述によると、もともと山崎種二さんが提唱し、その次男である山崎富治さんの本『ほうれんそうが会社を強くする』がベストセラーとなり広まったという。

当然のことながら、「報告・連絡・相談」を略して「報連相」としたのは、「ほうれん草」を意識したものであろう。未読であるが、『ほうれんそうが会社を強くする』というタイトルからもそのことが想像できる。その理由は2点ある。

ひとつは、「ほうれんそう」と平仮名表記にしていることである。「報連相」でも「報・連・草」でも、あるいはもっと直接に「報告・連絡・相談」でもよかったはずだが、敢えて平仮名にしている。音として読めば「ほうれん草」と「報連相」をかけているなと思うことはできるが、漢字で「報連相」と書かれているとその表記だけで「ほうれん草」を思い起こすことは難しい。思い起こしたとすれば漢字を読んだわけであり、ひと手間かかる。

もうひとつは、「ほうれんそう」に続いて「会社を強くする」としていることである。ほうれん草は緑黄色野菜として栄養価が高いイメージがある。漫画でポパイがほうれん草の缶詰を食べて、力こぶを出したりすることも思い浮かぶ。鉄分が豊富で、特に貧血気味の人は「ほうれん草を食べなさい」と言われることも多いだろう。ほうれん草には身体を強くするイメージがある。そのイメージで『ほうれんそうが会社を強くする』というタイトルをつけたと思われる。

興味があったので、『ほうれんそうが会社を強くする』をAmazonで検索してみると、新品はなかった。絶版となったようである。中古本はあり、表紙の画像を見たところ、思いっきり「ほうれん草」のイラストが載っていた(この記事の末にリンクあり)。しかも、イラストのほうれん草の葉が、働く人をかたどっている。

Wikipediaに戻り、あらためて「報・連・相」の項を読むと、「報連相の誤解」という箇所があった。
「上司の状況判断に必要な、部下からの自発的な情報伝達」を習慣的に行わせるためのしつけとして捉えられているが、そもそも、提唱者の山崎の著書では、管理職が「イヤな情報、喜ばしくないデータ」を遠ざけず、問題点を積極的に改善していくことで、生え抜きでない社員や末端社員であっても容易に報告・連絡・相談が行える風通しの良い職場環境をつくるための手段して報連相を勧めているのであって、部下の努力目標ではない。

考えていたことが載っていたので、嬉しいことではある。しかし、「ほうれん草を育てるように、報連相を育てることはできないか」と考えていたことが、「報連相」が広まったときから既に述べられていたことは、少し残念な気もする。

もともとアイデアの種は蒔かれていたようである。

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