渡部昇一さんが亡くなったとのニュースがあった。
直接お会いしたことはないが、私は渡部昇一さんから影響を受けている。
本を通じて、である。
最初は『知的生活の方法』であった。
大学生になり本を少しずつ読みはじめたころ、大学生協の本屋で平積みになっていたのを見かけた。おもしろそうだと思い、著者紹介の欄を見ると、英語学が専門の教授であった。文学部の英米文学科に入学したが、文学には興味がなかったので、英語学を専攻しようかと思っていた矢先のころだったと思う。何かの縁かと思い購入した。
読んでみると、とてもおもしろい。渡部昇一さんの本を数冊読んでいて、ごちゃまぜになっているかもしれないが、本の読み方であるとか、語学の重要性であるとか、わかったふりをしないなどの心構えであるとか、情報の整理のしかたであるとか、読書を中心とした「知的生活」のアレコレが書いてあった。
『論語』を読みはじめたのも、シェイクスピアを読みはじめたのも、発想法や情報整理の本を読みはじめたのも、一番最初は『知的生活の方法』であった。
『知的生活の方法』が出版されたのは1976年で、私は1977年の早生まれであるため、同学年ということになる。私の生まれる前に、すでにこのような本が出版されていたことに驚いた。おそらく良書は他にもたくさんあると思うが、いろいろな本を読んでみたいと思った初めての経験であった。
その後、当然『続 知的生活の方法』に進み、『発想法』や『英語の語源』などに進んだ。2010年には『知的余生の方法』が出版され、まだ余生にはちょっと早いかもしれないが、と思いながら買った記憶がある。
どこまで「知的生活」が身についているのかは疑問のところもあるが、少なくとも読書の習慣だけは身についていると思う。この『知的生活の方法』に出会わなければ、今の自分はないと思っている。
著者の渡部昇一さんは亡くなったが、私の手元には本が残っている。言葉、文字に興味を持っているのも、このためだと思う。
渡部昇一さん、ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
2017/04/19
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