2017/04/12

αにしてω

ジェームス・W・ヤングの『アイデアのつくり方』を読んだ。

アイデアの出し方や発想法などの本を読むのが好きである。ヤングの『アイデアのつくり方』は、発想法関係の本にしばしば参考文献として載っていたり、本文中に言及されていたりした本である。読みたいと思ってはいたが、なかなか読めずにいた。

文量もそれほどなく、簡潔に書かれているので読みやすい。目新しいことはあまりなかったが、アイデアのつくり方の原理原則が書かれているので、何か行き詰まりを感じたときに読むのがよさそうな気がする。

私にとって一番印象に残ったところは、「二、三の追記」として書かれていた以下の箇所である。
さらにもう一つ私がもう少し詳細に説明すべきだったことは言葉である。私たちは言葉がそれ自身アイデアであるということを忘れがちである。言葉は人事不省に陥っているアイデアだといってもいいと思う。言葉をマスターするとアイデアはよく息を吹きかえしてくるものである。
言葉に興味を持っている私としては、とても勇気づけられた。

花村太郎『思考のための文章読本』を読んだあとだったことも印象に残った理由かもしれない。『思考のための文章読本』にはいくつかの思考法が載っていて、その中に「単語の思考」というものがある。そこに書かれていた内容と同じことをヤングも書いていたのだと感じたからである。
単語は思考の出発する点であり、思考の手がかり、素材であるとともに、思考の面的、立体的広がりを要約したり象徴したりするタイトルやキーワードというありかたにおいては、思考の終点でもある。

言葉は、いい意味でも悪い意味でも、枠をつくる。モヤモヤとした考えを形づくる。構造を与える。また逆に包装され、ブラックボックスのように内容が見えなくなる可能性もある。単語においては、一語でいろいろな意味を持つ。あるいは、いろいろな意味を連れてくる。

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