2017/04/28

読書の方法から聞き方を考える(2)

読むことと聞くことの相違点についても確認しておく。思いついたままに書いているので脈略がない。

まず媒体が異なる。読むときは文字を読み、聞くときは音声を聞く。音声と文字は1対1に対応しているわけではない。同じ発音でも違う言葉はあるし、同じ語を違った言い方で声に出すこともできる。

慣れのためかもしれないが、読むよりも聞く方が時間がかかる。読むときには、次の語が目に入ることが多いので、速く読もうと思えば速く読める。速読という技術もある。聞く方にも速聴があるではないかという人もいるかもしれないが、速聴は、機械で音声を速くする、あるいは、速くした音声が記録されたものを聞くことであり、自分のペースで聞くことではない。読むことは自分のペースで読むことができるが、聞くことは自分のペースでは聞くことができない。

「話す」「聞く」「読む」「書く」の4つについて、時間のかかる順に並べると、「書く>話す>聞く>読む」ではないかと思う。もっとも、書いているときにリアルタイムで読むでいると順序は異なってくる。

文字を読むのと音声を聞くのとでもっとも大きな違いは、再現性であるともいえる。音声を聞くときは一期一会である。まったく同じ音調、音圧で同じ音声を聞くことはできない。文字ならばもう一度同じものが読める。音声でも録音されていれば聞き返すことはできる。

文字や文章は、いわば完成されたものを読むことが多い。リアルタイムで書いているところを読んでいくことは少ない。音声は逆にリアルタイムで聞くことが多く、完成されたものを聞くことは少ない。

話を聞くときは、表情その他、非言語的な要素が役に立つ。電話では表情や姿は見えないが、音調や音圧も非言語要素である。話を聞くときには耳以外の感覚が役に立つ。しかし、文字の場合には書いている人の表情などを見ることは少ない。

文字や文章で非言語的な要素は何かを考えると、フォントや文体を思いつく。また、本であれば、著者の略歴やタイトル、目次なども、非言語的な要素ではないかもしれないが、内容を推測するのに役に立つ。

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