2017/04/21

マイ古典となってしまっている本

英文学の古典として、14世紀イギリスの詩人ジェフリー・チョーサー(Geoffrey Chaucer)の『カンタベリー物語』というものがある。大学生のとき英文学の授業で、この『カンタベリー物語』を扱う講義があったので受講した。講師は外国人講師で、英語での講義である。

『カンタベリー物語』という名前は知っていた。しかし読んだことはなく、こんな機会でしか読まない可能性があると思い受講した。英文学講義の単位が必要であったためでもある。

英文学に興味がなかったにもかかわらず、なぜ『カンタベリ物語』のことを知っていたかというと、歌手スティング(Sting)のファンであったためである。

『カンタベリー物語』は、カンタベリーに巡礼にいく途中、ある旅館で居合わせた30人くらいの人が、退屈しのぎに集まって話をしていくという体裁の物語である。日本でいうと百物語のようなイメージであるが、『カンタベリー物語』は怪談ではない。『千一夜物語』といった方がわかりやすいかもしれない。

その話をしたうちのひとりが召喚人で、その召喚人の話が「Summoner's Tale」である。

スティングの本名がゴードン・マシュー・サムナーということで、本名のサムナーと召喚人の話(Summoner's Tale)をかけて、『Ten Summoner's Tales』というタイトルのアルバムを作った。映画『レオン』のエンディングテーマ「Shape of My Heart」が収録されているアルバムである。『Ten Summoner's Tales』(10の召喚人の話)というタイトルであるにもかかわらず、12曲が収録されている。1曲目と12曲目にそれぞれプロローグ、エピローグと付いているので、その2曲を除いて10曲という意味かもしれない。

そのようなわけで『カンタベリー物語』の名前だけは知っていたので、講義を受けてみようという気になった。

しかし、講義を受けてみても、わからない。テキストは古英語、講師はイギリス人講師で英語での講義。しかたなく(ズルして?)翻訳書を買ったものの、講義でどこの話をしているのかを探すのにも苦労した。

翻訳書がまだ手元に残っているので、いまパラパラとめくっていると、どうやら「バースの女房の話」の講義だったらしい。らしいというのは、覚えていないからである。ちなみに「召喚人の話」の内容も覚えていない。

それでもなぜか手元に残している。大学を卒業してから引越を何度かして、そのたびにある程度の本を処分したりしているのだが、まだ残している。

『カンタベリー物語』は、本の内容は語れないけれど、自分のなかで古典になっている。

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