前回、余りの定義を書いた。次のようなものだ。
余りの定義(自然数)自然数だけでなく、整数でも使えるようにしよう。ゼロ割りをしないように b≠0 として、余りの条件の不等式に b が負数のときも考えて絶対値 |b| を使う。
a を b で割ったときの商 q と余り r を、次式で定義する。
a=bq +r(0≦r<b)ここで a, b は自然数、q, r は自然数または0とする。
余りの定義(整数)商は英語で quotient、余りは remainder なので、商を q、剰余(余り)を r で表すことが多い。
a を b で割ったときの商 q と余り r を、次式で定義する。
a=bq +r(0≦r<|b|)a, b, q, r は整数で、b≠0 とする
mod は、剰余(余り)を求める演算である。整数での余りの定義を使って、mod を次のように定義する。
mod の定義(整数)たとえば、7 を 3 で割ると、商は 2 で、余りは 1 となる。mod を使って書くと、次のようになる。余りの定義式の方での様子も書いておく。
a, b, q, r は整数で、b≠0 とする。
a mod b =r ⇔ a=bq +r(0≦r<|b|)
7 mod 3 =1 ⇔ 7=3✕2+17 を -3 で割ると、商は -2 で、余りは 1 となる。
7 mod (-3) =1 ⇔ 7=(-3)✕(-2)+110 を 3 で割ると、商は 3、余りは 1。
10 mod 3 =1 ⇔ 10=3✕3+17 と 10 は同じではないが、7 を 3 で割った余りと、10 を 3 で割った余りは等しい。このことを次のように書く。
7 ≡ 10(mod 3)記号≡の名前(読み方)は知らないが、合同を表す。=を使った式を等式というが、≡を使った式を合同式という。7 ≡ 10(mod 3)という合同式は「3 を法として、7 と 10 は合同である」と読む。mod は modulo の略で、法とか剰余という意味。
a ≡ b (mod m) ⇔ a mod m = b mod mである。
先の例で、7 を 3 で割った余りと、7 を -3 で割った余りが等しくなったが、7 mod 3 = 7 mod (-3) という書き方は見たことがない。当然、割る数が負数であること割る数が異なるので合同式には表せない。また、mod の演算は「剰余による分類」がメインであるためであろう、負数を法とすることは稀である(調べていないのでないとは言い切れない)。
また、a mod m = b mod m を次のように書くこともできる。
(a-b) mod m =0m を法として合同な数同士の差は、m の倍数になることを示している。
mod の言い換え合同式について、a ≡ b(mod m)のとき、以下が成り立つ。
a, b, m は整数で、m≠0 とする。
a ≡ b(mod m) m を法として合同
⇔ a mod m = b mod m m で割った余りが等しい
⇔ (a-b) mod m =0 差が m の倍数
a+C ≡ b+C (mod m) 両辺に足しても合同しかし、等式とは異なり、除算(割り算)では成り立たない場合がある。
a-C ≡ b-C (mod m) 両辺から引いても合同
a✕C ≡ b✕C (mod m) 両辺に掛けても合同
たとえば、12を法として、15と75は合同である。
15 ≡ 75 (mod 12)両辺を3で割った場合は、合同ではない。
(15÷3) mod 12 = 5 mod 12 = 5両辺を5で割った場合は、合同である。
(75÷3) mod 12 = 25 mod 12 = 1
(15÷5) mod 12 = 3 mod 12 = 3合同式では、上の例でいうと、法となっている12と、1以外の共通の約数を持っていない場合、つまり互いに素な数であれば除算が可能である。12と3は互いに素ではない。12と5は互いに素である。
(75÷5) mod 12 = 15 mod 12 = 3
合同式と除算
a, b, C, m を整数とする。
C が m と互いに素のとき、以下が成り立つ。
a✕C ≡ b✕C (mod m) ⇒ a ≡ b (mod m)
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