問題1-3 p を素数とし、先に、本にある解答を載せておきます。
Zp = {0, 1, 2, …, p-1}とする。a∈Zp、b∈Zp のとき、a⊕b、a○b をそれぞれ a + b、ab を p で割ったときの余り、と定める。すると集合 Zp は演算⊕、○のもとで可換体であることを示せ。
体の条件のうちの大部分は簡単に示せるので省略する。a ≠ 0 のとき a○b = 1 となる b の存在を示す。a は 1, 2, …, p-1 のどれかであるから、p と互いに素である。よって ax + py = 1 となるような整数 x, y が存在する。このとき x = pq + r (0≦r<p) のような q, r をとると、大部分が省略されています……。
apq + ar + py = 1 ∴ar = p (- aq - y) + 1よって ar を p で割った余りは 1 であり、r∈Zp であるから a○r = 1。この r を b にとればよい。
ひとまず解答にある内容を確認すると、演算○についての逆元があるかどうかをチェックしています。
「よって ax + py = 1 となるような整数 x, y が存在する」という部分がわからなかったので調べたのですが、a と p が互いに素であれば、ax + py = 1 となるような整数 x, y が存在するというのは高校範囲の数学で勉強しているようです……。
高校数学の美しい物語「一次不定方程式ax+by=cの整数解」に、「 ax+by=1 が整数解を持つ ⟺ a と b が互いに素」の証明が載っているのですが、ここでやっている証明、いま取り組んでいる問題1-3と絡んでいるようです。特に「a と b が互いに素」ならば「 ax+by=1 が整数解を持つ」という証明の方が。
「a と b が互いに素 ⇒ ax+by=1 が整数解を持つ」の証明
a と b が互いに素なとき a, 2a, 3a, ⋯, (b−1)a を b で割った余りは全て異なる(※)ので,余りが1となるようなものが存在する。問題1-3での集合 Zp の要素は、0 と p-1 以下の自然数で、pは素数ですので、 Zp の 0 以外の要素と p は互いに素の関係にあります。先の証明の内容「a と b が互いに素なとき a, 2a, 3a, ⋯, (b−1)a を b で割った余りは全て異なる」で、a を 1、b を p とすると、Zp の 0 以外の要素 1, 2, ……, p-1 をpで割った余りは全て異なるということになります(p よりも小さい自然数を p で割るので、そのときの商は 0 で、割られる数そのものがそのまま余りとなります)。
それを ma とおき,b で割った商を n とおくと,
ma = bn + 1つまり,am − bn = 1 となり(m, −n) は整数解になっている。
※の証明(背理法)
ia と ja ( i > j ) を b で割った余りが同じだと仮定すると,(i − j)a は b の倍数となるはずだが,1≦ i − j < b かつ a と b は互いに素なのでこれは矛盾。
さて、集合 Zp についてですが、この集合は演算+(加算)、演算✕(乗算)に関して体ではありません。Zp は、0 と p-1以下の自然数(正の整数)ですので、演算に関する逆元が存在しません。Zp の Z から整数環の類推も働きます。
似たような話が、結城浩『数学ガール/フェルマーの最終定理』に載っています。整数環・剰余環・有限体の話です。
長くなりそうなので、今回はここまで。
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