2019/11/07

「余り」の話

mod についてまとめておこう。

と思ったが、ここでは脱線した内容で終えている。

mod などと書いているが、簡単にいうと「余り」である。小学校の算数・割り算での「7÷3=2…1(7割る3は2、余り1)」の「余り」である。少し難しくいうと「剰余」という。小数や分数などを学び、「余り」を意識して使うことはあまりない(と言ってみたかっただけです)。

「余り」自体を意識することはあまりないが、「剰余による分類」は無意識のうちに使っている。たとえば奇数と偶数。奇数は2で割って1余る数で、偶数は2で割り切れる数。余りの数で奇数と偶数に分類している。またたとえばワークショップなどで3つのグループに分けるときに「こっちから、1・2・3、1・2・3と番号を言ってください」と言って、1のグループと2のグループと3のグループに分けたりする。これも考えようによっては「剰余(余り)による分類」である(ただし、3で割って余り3とは言えないので少し修正は必要だが)。他にも、時間(15時を3時と言ったりする)や、数字でない例を挙げると、曜日なども「剰余による分類」と考えることができる。

今日は2019年11月7日で木曜日だが、7日後の11月14日も木曜日である。11月1日が金曜日であるため、金曜日を「1」として、「金=1、土=2、日=3、月=4、火=5、水=6、木=0」とすると、11月の何日かがわかれば、7で割って余りを調べることで、何曜日なのかがわかる。たとえば、(2019年11月)20日ならば、「20÷7=2…6」となるので水曜日である。

このとき、20÷7の答え(商という)にはあまり注目していない。商ではなく、余りに注目した演算が mod である。

割られる数を a、割る数を b、商を q、余りを r として数式を書くと、
a = bq + r (0≦r<b)
となる(a, b, q, r は自然数または 0 とする)。r は余りなので、0≦r<b という条件がついている。「20÷7=1…13」のように、余り(r)が割る数(b)より大きくなってはいけない。

ちょっと思い出したが、ガロア理論を勉強している本のひとつ、中村享『ガロアの群論』の一番最初に、一次方程式の話への導入で「盗人算」の紹介があった。吉田光由の『塵劫記』(江戸時代の算数の本)に載っている次のような問題だ。
 盗賊団の会話が、橋の下から聞こえる。盗んできた反物を分配しようとしているようだ。「7反ずつ分けると8反余るし、8反ずつ分けると7反足りない。どうしたものかなあ」
さて、盗賊は何人で、反物は何反あるか。
『塵劫記』では答えとして、「盗賊は8足す7で15人、反物は15人掛ける8反に7反足りないから113反」としか載っていない。盗賊の人数を x として、方程式を立てて――と話が続く。そして『塵劫記』には(盗人算として)これ1問しか出ていないので、「盗賊の人数や盗品の数が違っても、読者は解けたのだろうか?」として、数字を変えた盗人算の例を挙げる。
 盗賊団の会話が、橋の下から聞こえる。盗んできた反物を分配しようとしているようだ。「7反ずつ分けると6反余るし、9反ずつ分けると4反足りない。どうしたものかなあ」
さて、盗賊は何人で、反物は何反あるか。
そして方程式を立てて、盗賊の人数は5人、反物は41反という答えを出す。

簡単な方程式でもあり、答えや解き方などに疑問点はないのだが、ただ1点だけ気になるところがある。それは、問題文の「7反ずつ分けると6反余る」というのはおかしいのでは?ということだ。盗賊の人数が5人なら、7反ずつ分けて6反余らせるのではなく、「8反ずつ分けて1反余る」としたほうがいいんじゃないかと思う。

これでは、「余談」である。お後がよろしいようで。
(mod についてのまとめは、また後日。)


あ、『ガロアの群論』自体は、(まだしっかりと理解できていないところもありますが、)ガロアの考えたことを丁寧にたどって、方程式が解ける条件を解説したいい本です。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブログ アーカイブ