2019/11/03

体(数学)についての理解を深める問題

エミール・アルティン『ガロア理論入門』には、各節ごとに訳者(寺田文行)による問題がついています。理解を深めるために、その問題を解いていきます。

とは言っても、わからないことが多く、本の解答を見てもわからないところもあるので、解答の仕方に冗長なところがあったり、言葉の使い方を含め誤りがある可能性がありますのでご注意ください(問題自体は本そのままを載せていますが、解答は私の解答なので……)。

第1章第1節の問題は以下です。
問題1-1
(1) 2要素だけからなる体の和と積の演算表をつくれ。
(2) 3要素だけからなる体の和と積の演算表をつくれ。

問題1-2
(1) a、bを整数とするとき、a+biの全体は体をつくらない。理由を述べよ。
(2) a、bを有理数とするとき、a+biの全体は体をつくる。これを証明せよ(この体をガウスの数体という)。

問題1-3
pを素数とし、
Zp={0, 1, 2, …, p-1}
とする。a∈Zp、b∈Zpのとき、a⊕b、a○bをそれぞれa+b、abをpで割ったときの余り、と定める。すると集合Zpは演算⊕、○のもとで可換体であることを示せ。

問題1-4
有限個の要素からなる体を有限体という。有限体q個の要素をもてば、の任意の要素xxqxを満たすことを証明せよ(実は有限体はすべて可換であることが証明される)。

問題1-1 (1) 2要素だけからなる体の和と積の演算表をつくれ。

2要素だけからなる体は{0, 1}なので(演算表ではないですが、)、
(和)0+0=0、0+1=1、1+0=1、1+1=0
(積)0×0=0、0×1=0、1×0=0、1×1=1

(2) 3要素だけからなる体の和と積の演算表をつくれ。

3要素だけからなる体を{0, 1, a}とすると、
(和)0+0=0、0+1=1、0+a=a、1+0=1、1+1=a、1+a=0、a+0=a、a+1=0、a+a=1
(積)0×0=0、0×1=0、0×a=0、1×0=0、1×1=1、1×a=a、a×0=0、a×1=a、a×a=1
※本の解答は集合を{0, 1, 2}としていた。

問題1-2 (1) a、bを整数とするとき、a+biの全体は体をつくらない。理由を述べよ。

乗法について逆元をもつとは限らないため。s+tiの逆元は1/(s+ti)だが、s、tを整数とするとき、1/(s+ti)はa+bi全体の集合の要素ではないため。

(2) a、bを有理数とするとき、a+biの全体は体をつくる。これを証明せよ。

(略)定義をそれぞれ確かめる。

問題1-3
pを素数とし、
Zp={0, 1, 2, …, p-1}
とする。a∈Zp、b∈Zpのとき、a⊕b、a○bをそれぞれa+b、abをpで割ったときの余り、と定める。すると集合Zpは演算⊕、○のもとで可換体であることを示せ。

イメージしにくいので、具体例から考えてみる。

p=2のとき、Z2={0, 1}
和と積の演算表は問題1-1(1)で求めている。それに基づき、a⊕b、a○bの演算表を作ってみると、
(⊕の演算表)0⊕0=0、0⊕1=1、1⊕0=1、1⊕1=0
(○の演算表)0○0=0、0○1=0、1○0=0、1○1=1
となり、可換体となっている。

p=3のとき、Z3={0, 1, 2}
これも問題1-1(2)で和と積の演算表を作っており、p=2のときと同様に、a⊕b、a○bの演算表を作ることができる。

これらから見ると、a+bとa⊕b、abとa○bの演算結果は同じになる。これでは証明とは言えない。ちょっと方向性を変える。

問題文から、a⊕b、a○bはそれぞれa+b、abをpで割ったときの余りであるので、それぞれの商をS、Tとすると、
   a+b=Sp+(a⊕b)
   ab=Tp+(a○b)
と表すことができる。

あ、modを使うのですか、ね?

***

問題1-3について、本の解答を読んでもまだよくわからず……。
出直してきます。

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