定理1連立方程式を習ったときだと思うが、未知数が2つ(たとえばx, y)あるのに、方程式が1つだったら、x, y は求められない(不定となる)ということを聞いた。そのときに証明があったのかどうかは覚えていない。ただ、そうなんだ、というくらいにしか頭に残っていない。
未知数の個数n が方程式の個数m をこえるとき、同次線形連立方程式は非自明な解をもつ。
ここで述べられている定理は、その(同次線形連立方程式での)一般化の証明である。
a11x1+a12x2+…+a1nxn=0その証明をそのまま書くとただの丸写しになるので、概略だけを残しておこう。
a21x1+a22x2+…+a2nxn=0
…………
am1x1+am2x2+…+amnxn=0
証明には数学的帰納法が用いられていた。
数学的帰納法は簡単に書くと、次のような証明の方法である。自然数n について、証明したい命題を P(n) として、
- P(1) が正しいことを証明する
- P(k) が正しいと仮定すれば、P(k+1) も正しくなることを証明する
定理1の証明では、まず「n>0個の未知数に対して方程式が1つもないとき」に非自明な解が存在することを証明し、次に k<m として「k個より多い未知数をもち、k個の式からなる任意の同次線形連立方程式が非自明な解をもつ」と仮定して進めていた。
式ai1x1+ai2x2+…+ainxn を Li, i=1, 2, …, m とすると、与えられた連立方程式は以下のように書ける。
L1=L2=…=Lm=0もしすべての i, j に対して aij=0 であれば、x1, x2, …, xn の任意の値が解になる(非自明な解が存在する)。
aij が全部は 0 でないときは、a11≠0 と仮定できる(方程式の順序や未知数の番号を変えたとしても、非自明な解が存在するか否かに影響しないから)。
与えられた連立方程式に非自明な解が存在するための条件は、次の連立方程式が非自明な解をもつことである。
L1=0ちょっと添字が多くて見にくいかもしれないが、たとえば上の2番目の方程式は、L1=0 の両辺に a21/a11 を掛けたものを、L2=0 から引いたものである。連立方程式を解くときに式に①、②と番号をつけて、「①-②✕2 より」としているようなもので、x1 の係数をそろえるために a21/a11 を掛けている(ここでは a11≠0 である)。
L2-a21a11-1L1=0
…………
Lm-am1a11-1L1=0
この2番目以下の式を m-1個の同次線形連立方程式とみれば、帰納法の仮定より、非自明な解が存在する(ここでは、未知数 n個で、m-1個(m-1<m)の式だから)。
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