タイトルがいい。その本のタイトルは『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』である。ルイス・ダートネルという人が書いている(訳:東郷えりか)。河出文庫で出版されている。
裏表紙には次のことが書いてあった。
文明が滅びたあと、あなたはどのように生き残るのか? 穀物の栽培や紡績、製鉄、発電、印刷、電気通信など、人類が蓄積してきた膨大な知識をどのように再構築し、文明を再建するのか? 日々の生活を取り巻くさまざまな科学技術と、その発達の歴史について知り、「科学とは何か?」を考える、世界十五カ国で刊行の大ベストセラー!
現在の生活は自分ひとりで作り上げたものではない。過去の人たちが頭と身体を使って作り上げてきたもので、現在もそうだ。どこかの誰かが作ったものが手に入るような社会で、多くの人の仕事で成り立っている生活である。身近なものひとつとっても、自分ひとりで作り上げられるものはなかなかない。
たとえば、このブログはグーグルのBloggerというサービスを利用しているが、インターネットという仕組みやパソコンという機械がないと利用することができない。インターネットを利用するのも、通信技術やプロバイダなど必要なコト・モノはたくさんある。パソコン1台を作るといっても、さまざまな部品で成り立っているし、CPUなど人間の手で作ることができるのかも疑問である。
生活するだけでも、日々恩恵にあずかっている。食べ物も自分で栽培することなく店で買うことができる。
このような世界で、この世界が消えたあと、どのように生活していけるだろうか。
『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』というタイトルからは、自給自足の生活の方法を書いているわけではないだろう。おそらくは、現在の世の中、社会にある、そして身の周りにある科学技術の紹介という内容だと思うが、ゼロからスタートするような感じである。裏表紙に掲げられている事項からすると、栽培や紡績、発電、印刷、電気通信など。ゼロから再構築できるだろうか。
生きるための科学技術、あるいは知識・知恵ということも考えさせられるような本である。
読むのが楽しみだ。
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