デイヴィット・S・キダー&ノア・D・オッペンハイム、小林朋則(訳)
『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』からテーマをいただき、
毎日更新中。
----------
(と書いておきながら止まってしまっていたので再開。書けていないところは追々)
有名な彫刻である「ミロのヴィーナス」は、1820年にギリシアのメロス島(別名ミロ島)で発見されたことから、そう呼ばれている。ヴィーナスはギリシア神話でのアプロディーテで、ローマ神話ではヴィーナスと呼ばれている女神。ミロのヴィーナスは、ミロ島で発見されたヴィーナス像ということだが、彫られている対象がヴィーナスであるのかどうかも、確証はない。制作者も不詳。Wikipediaでは「アンティオキアのアレクサンドロスと考えられている」とあった。ミロのヴィーナスは現在、パリのルーブル美術館で見ることができる。
ミロのヴィーナスには両腕がない。定説はないが、その腕はリンゴを持っていたのではないかという説がある。トロイア戦争の発端として、パリスがヴィーナスに黄金のリンゴを渡す場面がギリシア・ローマ神話にあり、ミロのヴィーナスはリンゴを受け取ったヴィーナスではないかという説である。
パリスが黄金のリンゴを渡す場面のことを、「パリスの審判」といっている。
ペーレウスとテティスの結婚式にすべての神々が招待されたが、争いの女神エリスは招待されなかった。エリスは怒り、「最も美しい女神へ」と書かれた黄金のリンゴを投げ入れる。「黄金のリンゴは私のもの(=最も美しいのは私)」と3人の女神が争う。ヘラとアテナとアプロディーテ(ヴィーナス)である。大神ゼウスは、その対立の決着を人間に委ねる。選ばれたのがトロイアの王子パリスであった。
ヘラは世界を支配する力を、アテナはいかなる戦争にも勝利を得る力を、ヴィーナスは最も美しい女を、それぞれ与えることをパリスと約束する。パリスが選んだのはヴィーナスだった。ヴィーナスは約束通り、最も美しい女を与える。それがスパルタの王妃ヘレネーだった。パリスがヘレネーをトロイアに連れて帰ったことで、スパルタ(ギリシア)とトロイアの間で争いが起こり、トロイア戦争となった。
どこまでが史実でどこまでが神話なのかはわからない。ただ人間の想像力はすごいと思う。ミロのヴィーナスの両腕がないところからその両腕を思い描く能力、トロイア戦争の原因に神々の争いが絡んでいると考える能力。「ある」はずのものが、あるいはあってほしいものが、「ない」とき、それを塞ごうとする。想像力とはそんな力なのかもしれない。
2019/02/27
登録:
コメントの投稿 (Atom)
ブログ アーカイブ
-
▼
2019
(230)
-
▼
2月
(29)
- ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』【未読】
- 第4週第3日(水)ミロのヴィーナス
- ちくま文庫のシェイクスピア全集(2019年1月時点)
- 第3週第5日(金)和声(ハーモニー)
- 第3週第4日(木)太陽系
- 第3週第3日(水)パルテノン神殿
- 第3週第2日(火)ハーレム・ルネサンス
- 本の読み方:タイトルから読む
- 第3週第1日(月)スパルタ対アテネ
- 第2週第7日(日)ノア
- 第2週第6日(土)ソクラテス
- 第2週第5日(金)旋律
- 第2週第4日(木)エラトステネス
- 第2週第3日(水)ネフェルトイティの胸像
- 『薔薇の名前』の名前について
- 第2週第2日(火)アーネスト・ヘミングウェイ
- 第2週第1日(月)ハンムラビ法典
- 第1週第7日(日)トーラー
- 第1週第6日(土)現象と実在
- 第1週第5日(金)音楽の基礎
- 第1週第4日(木)クローン技術
- 異なる印象の曲、3曲。
- 第1週第3日(水)ラスコー洞窟の壁画
- 『薔薇の名前』下巻目次
- 第1週第2日(火)『ユリシーズ』
- 『薔薇の名前』上巻目次
- 第1週第1日(月)アルファベット
- 1年間続けること
- お蔵入り曲から再編
-
▼
2月
(29)
0 件のコメント:
コメントを投稿