2019/02/27

第4週第3日(水)ミロのヴィーナス

デイヴィット・S・キダー&ノア・D・オッペンハイム、小林朋則(訳)
『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』からテーマをいただき、
毎日更新中。
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(と書いておきながら止まってしまっていたので再開。書けていないところは追々)

有名な彫刻である「ミロのヴィーナス」は、1820年にギリシアのメロス島(別名ミロ島)で発見されたことから、そう呼ばれている。ヴィーナスはギリシア神話でのアプロディーテで、ローマ神話ではヴィーナスと呼ばれている女神。ミロのヴィーナスは、ミロ島で発見されたヴィーナス像ということだが、彫られている対象がヴィーナスであるのかどうかも、確証はない。制作者も不詳。Wikipediaでは「アンティオキアのアレクサンドロスと考えられている」とあった。ミロのヴィーナスは現在、パリのルーブル美術館で見ることができる。

ミロのヴィーナスには両腕がない。定説はないが、その腕はリンゴを持っていたのではないかという説がある。トロイア戦争の発端として、パリスがヴィーナスに黄金のリンゴを渡す場面がギリシア・ローマ神話にあり、ミロのヴィーナスはリンゴを受け取ったヴィーナスではないかという説である。

パリスが黄金のリンゴを渡す場面のことを、「パリスの審判」といっている。

ペーレウスとテティスの結婚式にすべての神々が招待されたが、争いの女神エリスは招待されなかった。エリスは怒り、「最も美しい女神へ」と書かれた黄金のリンゴを投げ入れる。「黄金のリンゴは私のもの(=最も美しいのは私)」と3人の女神が争う。ヘラとアテナとアプロディーテ(ヴィーナス)である。大神ゼウスは、その対立の決着を人間に委ねる。選ばれたのがトロイアの王子パリスであった。

ヘラは世界を支配する力を、アテナはいかなる戦争にも勝利を得る力を、ヴィーナスは最も美しい女を、それぞれ与えることをパリスと約束する。パリスが選んだのはヴィーナスだった。ヴィーナスは約束通り、最も美しい女を与える。それがスパルタの王妃ヘレネーだった。パリスがヘレネーをトロイアに連れて帰ったことで、スパルタ(ギリシア)とトロイアの間で争いが起こり、トロイア戦争となった。

どこまでが史実でどこまでが神話なのかはわからない。ただ人間の想像力はすごいと思う。ミロのヴィーナスの両腕がないところからその両腕を思い描く能力、トロイア戦争の原因に神々の争いが絡んでいると考える能力。「ある」はずのものが、あるいはあってほしいものが、「ない」とき、それを塞ごうとする。想像力とはそんな力なのかもしれない。

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