2019/08/17

不動点パズル10:反転(問18の解答)

(前回はこちら

機械に、ある記号列 x を入力すると、ある記号列 y をもたらす。この機械には4つの規則がある。
規則Q Qx → x
(任意の記号列 x に対して、記号列 Qx は x をもたらす)
規則C x → y ならば、Cx → yQy
(x が y をもたらすならば、Cx は y の随伴 yQy をもたらす)
規則R x → y ならば、Rx → yy
(x が y をもたらすならば、Rx は yy、すなわち y の反復をもたらす)
規則V x → y ならば、Vx → y
(x が y をもたらすならば、Vx は y の反転をもたらす)

今回は、問18を解いていく。


問18 任意の記号列 y に対して、ある記号列 x で、xy をもたらすものが存在することを証明せよ。たとえば、どのような記号列 x が xJKL をもたらすだろうか。

(解答)
まずは、xJKL をもたらす記号列 x を探していこう。

求める記号列 x は、xJKL をもたらすので、
x → xJKL ・・・・・①
を満たす。

反転のかたちがあるので、x は V からはじまる記号列として、x = Vx1 とすると、①は、
Vx1 → [Vx1]JKL ・・・・・①'
と書ける。このとき、規則V の条件より、
x1 → LKJVx1 ・・・・・②
とならなければならない。

問4より、CQyC → yCQyC であるので、この y = LKJV とすると、CQLKJVC → LKJVCQLKJVC が成り立ち、これは②の x1 を x1 = CQLKJVC としたときに一致する。

したがって、求める記号列は VCQLKJVC である。
(問9で求めた、RQyRQ → yRQyRQ を利用した VRQLKJVRQ も解答となる。)

いまの結果をあらためて規則V に沿ったかたちで明示的に書くと、「CQLKJVC は LKJVCQLKJVC をもたらすので、VCQLKJVC は CVJKLQCVJKL をもたらす」、つまり、
CQLKJVC → LKJVCQLKJVC であるので、
VCQLKJVC → CVJKLQCVJKL ・・・・・③
ここで、記号列JKL を z とすると、LKJ は z となり、③は、
CQzVC → zVCQzVC であるので、VCQzVC → CVzQCVz ・・・・・③'
と書ける。CQzVC → zVCQzVC は z がどのような記号列であっても成り立つ(CQyC → yCQyC の y を zV としたもの)。また、VCQzVC → CVzQCVz の CVzQCVz は、VCQzVC の反転に、任意の記号列 z を続けたものである。

したがって、任意の記号列 y に対して、xy をもたらすものが存在し、その記号列に VCQyVC がある。
(VRQyVRQ も、任意の記号列 y に対して、xy をもたらす記号列である。)

つづく

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