2019/08/21

不動点パズル14:対称記号列(問19の解答後半)

(前回はこちら

機械に、ある記号列 x を入力すると、ある記号列 y をもたらす。この機械には4つの規則がある。
規則Q Qx → x
(任意の記号列 x に対して、記号列 Qx は x をもたらす)
規則C x → y ならば、Cx → yQy
(x が y をもたらすならば、Cx は y の随伴 yQy をもたらす)
規則R x → y ならば、Rx → yy
(x が y をもたらすならば、Rx は yy、すなわち y の反復をもたらす)
規則V x → y ならば、Vx → y
(x が y をもたらすならば、Vx は y の反転をもたらす)

対称記号列(回文記号列):反転しても同じである記号列。記号列がその反転と等しいとき、その記号列は対称であるという。

前回、問19で、それ自身をもたらす対称記号列 VVCVVQVVCVV を見つけた。今回は、問19の後半部分、何種類あるかについて考えよう。前回の解答の途中でさらりと触れたが、実は、この問題の本での解答をすでに見ている。しかし、その解答を見てもまだわかっていないので、解答の解説を書くつもりで記載する。


問題19 CQC 以外で、それ自身をもたらす対称記号列を見つけよ。それは何種類あるだろうか。

この問題の解答欄には以下のようにあった。
VVCVVQVVCVV は、それ自身をもたらす対称記号列になる。z を偶数個の V からなる記号列とするとき、zCzQzCz もそれ自身をもたらす対称記号列になる。
z = VV(2個の V からなる記号列)としたとき、zCzQzCz は VVCVVQVVCVV である。

z を偶数個の V からなる記号列とするとき、zCzQzCz もそれ自身をもたらす対称記号列になるのだから、VVVVCVVVVQVVVVCVVVV(z = VVVVとしたとき)も、それ自身をもたらす対称記号列になる。

では、z が奇数個の場合は、それ自身をもたらす対称記号列にならないのだろうか。たとえば、VCVQVCV がどのような記号列をもたらすのかを考えてみる。

VCVQVCV がもたらす記号列を x とすると、
VCVQVCV → x ・・・・・①
と書ける。VCVQVCV は V からはじまる記号列であるため、何らかの記号列をもたらすならば規則V に従う。そのため、
CVQVCV → x ・・・・・②
ならば、VCVQVCV は x をもたらす。

CVQVCV は C からはじまる記号列であるため、何らかの記号列をもたらすならば規則C に従う。そのため、x を、yQy とおくと、
VQVCV → y ・・・・・③
ならば、CVQVCV は x をもたらす。

VQVCV は V からはじまる記号列であるため、何らかの記号列をもたらすならば規則V に従う。そのため、
QVCV → y
ならば、VQVCV は y をもたらす。

規則Q より、QVCV は VCV をもたらす。
QVCV は VCV をもたらすので、VQVCV は VCV(VCV の反転)をもたらす。
VQVCV は VCV をもたらすので、CVQVCV は VCVQVCV をもたらす。
CVQVCV は VCVQVCV をもたらすので、VCVQVCV は VCVQVCV をもたらす。

VCVQVCV が、それ自身をもたらす対称記号列となった。VCVQVCV は、zCzQzCz で、z = V(Vが1個)の記号列である。つまり、z が奇数個の V からなる記号列のひとつである。どこかで何か間違ったのだろうか。

3つ以上の奇数の場合はどうだろうか。

先ほど見た記号列 VCVQVCV では、QVCV が VCV をもたらすことが、最終的に VCVQVCV は VCVQVCV をもたらす条件となっている。

前回求めた対称記号列 VVCVVQVVCVV についてみると、
(規則Q)QVVCVV → VVCVV
(規則V)QVVCVV → VVCVV であるので、VQVVCVV → VVCVV
(規則V)VQVVCVV → VVCVV であるので、VVQVVCVV → VVCVV
(規則C)VVQVVCVV → VVCVV であるので、CVVQVVCVV → VVCVVQVVCVV
(規則V)CVVQVVCVV → VVCVVQVVCVV であるので、
VCVVQVVCVV → VVCVVQVVCVV
(規則V)VCVVQVVCVV → VVCVVQVVCVV であるので、
VVCVVQVVCVV → VVCVVQVVCVV
であり、QVVCVV → VVCVV であることが、最終的に VVCVVQVVCVV → VVCVVQVVCVV の条件となっている。

zCzQzCz についても、QzCz → zCz であるので、zCzQzCz → zCzQzCz といえるだろう。

QzCz → zCz
QzCz → zCz であるので、VQzCz → zCz
……(記号列zの V の個数分、繰り返し)……
zQzCz → zCz であるので、CzQzCz → zCzQzCz
CzQzCz → zCzQzCz であるので、VCzQzCz → zCzQzCz
……(記号列zの V の個数分、繰り返し)……
zn-1CzQzCz → zCzQzCz であるので、zCzQzCz → zCzQzCz
のようになるはずである。(zn-1 は、z の V の個数より1少ない個数の V からなる記号列)

このなかで、反転の対象となる記号列は、zCz と zCzQzCz で、z が V からなる記号列である場合は、V の個数にかかわらず、zCz と zCzQzCz を反転しても同じ記号列となる(つまり、対称記号列である)。

本の解答に、「偶数個の V」とあるからには何らかの理由があると思うのだが、現時点ではその理由がわかっていない。本に記載されている解答は間違いではない。「z を偶数個の V からなる記号列とするとき、zCzQzCz もそれ自身をもたらす対称記号列になる」ことは間違いではない。

つづく

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