特にインバウンドセンター(お客様からの電話を受けるセンター。逆にお客様に電話をかけるセンターを「アウトバウンドセンター」といいます。)では、受注や相談などを受け付けたりするのですが、直接的に売上や利益を上げるといった活動は行っていません。
商品の注文の電話を受け付けたとしても、それは電話窓口での売り上げではなく、電話をしてくれるまでのマーケティング活動の成果となります。クレームを解決したとしても、直接的な売上にはなりません。
私たちの仕事は、お客様と企業との継続的な関係をつくり出すことです。
お客様にまた利用してもらえるように。
企業から離れていってしまわないように。
多くのお客様が企業のファンとなってくれるように働きかけることで、間接的に企業に貢献することが仕事のひとつです。
先日、コーチングの本を読んでいて、コールセンターの話ではないですが、印象的な箇所がありましたので、ちょっと長くなりますが引用します。
出張である地方都市へ行ったときのこと。仕事を終えて午後4時過ぎ、次の新幹線まで40分ほどの時間があり、お茶でも飲もうと駅ビルのコーヒーショップに入りました。全国でフランチャイズ展開する店です。レジの列に並んでメニューを確認し、コーヒーを注文しようとしました。
並んでいるうちに、レジ周りの甘いものに目がいきます。おなかはペコペコです。でも私はその時間になると、夕飯とおいしいビールに備えておやつは食べません。改めてそう意を決したところで、私の順番が回ってきました。
コーヒーを注文し、レジの店員は注文を繰り返します。そのほんの一瞬、私はもう一度レジ周りのスイーツに目を光らせていました。その一瞬の動きを店員は見逃しませんでした。私の様子を観察した店員は、笑顔で、「何かご一緒にいかがですか?」と声をかけます。
私の手は、アメリカン・スタイルの大きなクッキーに伸びていました。私の後ろに並んでいた同行者も、「私も買っちゃいましたよ」とトレーに飲み物とマフィンを載せてテーブルにやってきます。レジの店員のちょっとしたやる気が、クッキーとマフィンの売上につながったのです。
私はそのちょっとした出来事に感動すら覚えていました。何百人と対応するお客のうちの、たった一人の目の動きを見逃さずに一声かける。それ以来、私はどの街角でもそのコーヒーショップがある限り、他の店には入りません。
(菅原裕子『部下を育てるコーチング』朝日文庫)
「ファンになる瞬間」が描かれていました。この文章に先立ち、「小さな機会損失」の例もあったのですが、その話は電話対応のまずさで注文を止めてしまった、というもの。
この「ファンになる瞬間」は、電話対応でもできることだと思っています。お客様の口調やトーンのちょっとした変化、何気なくおっしゃった一言、そういったちょっとした出来事に注意を払って応対していかなければならないと、改めて感じた瞬間でした。
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