福島原発の状況は、その中でも大きな不安要素です。
最近ずっと、一通りは原発関連のニュースを確認するようにしています。
さて、本日のニュースを確認していたところ、次のようなニュースがありました。
NHKニュース「1号機 震災の夜に燃料露出直前」
ニュースサイトなので、リンクが切れる可能性があるため、スクリーンショットを。
東京電力、福島第一原子力発電所の事故で、1号機では、先月11日の地震当日の夜までに原子炉の水が核燃料が露出する直前まで減り、安全のために最も大切な「冷やす機能」を十分に保てなかったことが、NHKが入手した資料で分かりました。専門家は「その後さらに水が減り、核燃料が露出したことで、地震の翌日という早い段階で水素爆発が起きたのではないか」と指摘しています。
NHKが入手した資料には、地震当日の先月11日に福島第一原発の1号機から3号機で測定された原子炉の「水の高さ」や「圧力」などの値が示されていますが、東京電力などは、これまで地震の翌日以降の値しか公表してきませんでした。資料によりますと、1号機では、地震発生から7時間近くたった午後9時半に、原子炉の中で核燃料が露出するまでの水の高さが残り45センチとなり、通常の10分の1程度に減っていたことが分かりました。1号機から3号機では、地震と津波によってすべての電源が失われ、2号機と3号機では非常用の装置で原子炉を冷やし、水の高さが4メートル前後に維持されていました。これに対し1号機では、地震当日の夜までに、すでに安全のために最も大切な「冷やす機能」を十分に保てなかったことになります。また核燃料が水から露出するまで、2号機と3号機では、地震から1日半から3日程度かかっているのに対し、1号機では18時間ほどしかありませんでした。東京大学の関村直人教授は「1号機では、『冷やす機能』が維持できなくなったあと、さらに水が減り核燃料が露出したことで、地震の翌日という早い段階で水素爆発が起きたのではないか」と指摘しています。一方、東京電力は「調査はこれからで詳しいことは分からない」と話しています。
このニュースを読んだとき、「ん?」と思いました。
確か、3月11日の夜に、1号機の原子炉水位が50cmくらいだった資料を見たことがあったからです。「東京電力などは、これまで地震の翌日以降の値しか公表してきませんでした。」とありますが、どこかで公表されていた覚えがありました。
確認したところ、政府発表の資料「平成23年(2011年)福島第一・第二原子力発電所事故について」の中に公表されていました。
(首相官邸ホームページ>首相官邸災害対策ページ> 直近の政府発表)
今、確認したところ、「平成23年4月8日(19:00)現在」が最新版で、見た目もきれいになっていて、3月11日夜の原子炉の水位や圧力、D/W圧力などの値は掲載されていませんが、以前の版では11日22:00時点の数値が載っています。
それによると、
1号機(3月11日22:00)
- 原子炉水位(A):記載なし(あるいはBと同じ?)
- 原子炉水位(B):550mm(=55cm)
- 原子炉圧力(A):-(値なし)
- 原子炉圧力(B):-(値なし)
- D/W圧力:-(値なし)
2号機(3月11日22:00)
- 原子炉水位(A):3400mm(=3.4m)
- 原子炉水位(B):-(値なし)
- 原子炉圧力(A):-(値なし)
- 原子炉圧力(B):-(値なし)
- D/W圧力:-(値なし)
3号機(3月11日21:00)
- 原子炉水位(A):-(値なし)
- 原子炉水位(B):-(値なし)
- 原子炉圧力(A):7.2MPaG
- 原子炉圧力(B):-(値なし)
- 原子炉圧力(C):-(値なし)
- D/W圧力:0.155MPaabs
となっています。
ニュースでは、「資料によりますと、1号機では、地震発生から7時間近くたった午後9時半に、原子炉の中で核燃料が露出するまでの水の高さが残り45センチとなり、通常の10分の1程度に減っていたことが分かりました。」とありますが、午後10時の水位が55cmなので、この時点で9分の1になっているのに気付いてなかったのでしょうか?
ニュース動画に資料が映っていたので、これもスクリーンショットを撮ってみたところ、
大体のところ、政府発表資料と合っています。おそらく「1F1」「1F2」「1F3」は「福島(F)第一原発1号機」「2号機」「3号機」を指していると思いますが、1号機と2号機の22:00の水位は一致しています。3号機の水位は一致していませんが…。
ニュース動画内の資料では、圧力やD/W圧力が映っている箇所もありましたが、その値は政府発表の値と一致していました。
ただ、政府発表の値は、11日については22:00(3号機については21:00)の値のみですので、NHKが入手したという資料の方が詳しいかとは思います。
朝日新聞には、
東電はこれまで13日以降のデータ一覧のみ公表していた。「地震直後のデータは欠落が多かったので入れなかった。個別に聞かれれば答えた。国も公表していた」と説明している。とあります。
ただ、個別に聞いたとしても、「発表を待て」と言われそうな気がしますが…。
ちなみに政府発表の資料「平成23年(2011年)福島第一・第二原子力発電所事故について」の、少なくとも
NHKの映像を引用させて貰いました。
返信削除1号機の水位計は校正されていません。
引用したブログで検証しました
http://mpa.seesaa.net/article/208310963.html
神田さん>
返信削除コメントありがとうございます。ブログも拝見させていただきました。
「原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について-」(http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2011/iaea_houkokusho.html)を確認してみましたが、「事業者解析」として校正された数値を扱っているような気がします(細かくは読んでいません…)。実測値は実測値として。
東電が「校正」としているところを、IAEAへの報告書では「解析」として提出しているような気がします。もしそうならば、嘘とは言えませんが、わかりづらいですね。