2012/04/08

一拍子の打ちのこと

『五輪書』水の巻「敵を打つに、一拍子の打の事」より。
敵を打つ拍子に、一拍子といひて、敵我あたるほどのくらゐを得て、敵のわきまへぬうちを心に得て、我身もうごかさず、心も付けず、いかにもはやく、直に打つ拍子也。敵の太刀、ひかん、はづさん、うたんと思ふ心のなきうちを打つ拍子、是一拍子也。此拍子能くならひ得て、間の拍子をはやく打つ事鍛錬すべし。

会話は勝負ではありませんが、間合いがあります。


兵法では、間合いに入ったら、間髪容れず打つ。

相手の心構えができないうちに、自分の身も動かさず、心を止めることなく素早く一気に打つ。

敵が太刀を引こう、はずそう、打とうと思う心の起こらないうちを打つ拍子が「一拍子の打ち」。


会話でも間合いに入ったら、間髪容れず。

相手に言葉を選ばせる間もない合いの手。

「これを言ってもいいのかな」「この言葉は止めておこう」

そんな気を起こさせず、相手が自然に言葉をつなげられる聞き方。


「間髪容れず」とは、間に髪の毛も入らない、入れないこと。

頭で考えて答えると、間が空く。

この間を空けない聞き方。


「間」といっても沈黙とは違う「間」。

リズム、拍子。


兵法では、リズム・拍子を崩すこともひとつの手だが、会話ではリズム・拍子を創ることが一つの手。


リズム・拍子を創るための一手が「一拍子の打ち」だと考えます。


間髪容れず、自信をもって打つこと。

よくよく鍛錬すべし。

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