そのコメントは、今回の論語の言葉に近い言葉。
孟武伯孝を問う。子曰く、父母には唯其の疾を之れ憂えよ。
孟武殿が孔子に「孝」の意味を尋ねたところ、孔子が言うには、「父母には唯其の疾を之れ憂えよ」とのこと。
原文で書くと「父母唯其疾之憂」。
先ほどの書き下し文は加地伸行さんの『論語』によるもので、訳としては次のように書かれています。
「父母に対して、病気ではあるまいか〔と健康状態を〕ただただ心配することだ」
一方で注として、別の解釈があることも述べています。
「其の疾」の「其」を父母ではなく子とする解釈として、「父母をして其の疾を之れ憂えしむ」。
意味としては、「子としては、父母に病気のときにのみ心配をかけるようにして、その他のことでは心配をかけてはならない」との解釈です。
「其」を父母とすると「其の疾」は「父母の病気」。
「其」を子とすると「其の疾」は「子の病気」。
代名詞が何を指すかによって解釈が変わります。
しかし、解釈は変わろうとも、父母には健康でいてほしいと思い、そして、自分のことでも心配をかけたくない。
それが「孝」なのかもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿