テーブルの上には一枚の写真がある。どことなく幻想的な風景写真。画面の下を横切る平原。残りの大部分を占める漆黒の空。その空をひっかくようにたなびく白い雲。平原にはひらべったい小屋と教会、無数の十字架が小さく埋もれている。そして、中空にはぽつんと丸く白い月が浮かんでいる。写真の隅っこにタイトルが書かれていた。
エルナンデスの月の出。ニューメキシコ州、一九四一年。
恩田陸さんの短編「ニューメキシコの月」(『象と耳鳴り』所収)の冒頭部分です。
久しぶりに読み直してみて、そういえば、この「エルナンデスの月の出」という写真をまだ見ていないな、と思い出しました。
最初に読んだときも、次に読んだときも見てみたいと思いつつ探していなかったのです…。
写真には詳しくなく、「エルナンデスの月の出」も、アメリカの写真家アンセル・アダムス(Ansel Adams)の名前も、恩田陸さんのこの短編から知りました。
WEB検索をすると、「エルナンデスの月の出」は、現在「山口県立美術館」にある、とのこと。
意外と近くにあったのですね。
山口県立美術館のHPでは、所蔵品検索ができました。「エルナンデスの月の出」も画像あり。(ここに貼っていいのかちょっと微妙なので、画像は貼っておりません。)
恩田陸さんの描写から私が想像していたものよりもいい写真です。
構図がいいのですかね?
私が想像していた風景は、もう少し平原や月の位置が上にずれたような写真を想像していました。
さて、山口県立美術館のHPを見てみると、トップページには、雪舟の『牧牛図(牧童)』の水墨画(追記:これは見るたびに変わっていました)、そして、現在「カンディンスキーと青騎士展」(2011/7/5~9/4)が開催されているとのこと。
美術・芸術にも明るくないですが、雪舟の絵もカンディンスキーの絵も好きなのです。ただ、「カンディンスキーと青騎士展」はもうすぐ終了です。
絵画も写真も、芸術作品一般は、あまり知りませんが、見るのは好きです。
少しずつ美術や芸術に関する教養も身につけたいとは思っていますが、いろいろな本物を見るのが一番なのではないかと考えています。
山口の方に足を運ぶ機会があれば、行ってみたいですね。