本来関係のないもの同士を、理屈っぽく無理矢理結びつけることを「こじつける」といいます。
「こじつける」の名詞形が「こじつけ」。
この「こじつける」や「こじつけ」の「こじ」というのは「こじ開ける」とか「こじ入れる」の「こじ」と同じだと思っていました。
手元の国語辞典を引くと、「こじ開ける」は「物をさしこんで、むりに、あける」、「こじ入れる」は「〔すもうで〕むりやり、相手のうでの下に自分のうでを入れる」という意味が載っていました。
それとともに、常用外漢字ではありますが、「抉じ開ける」「抉じ入れる」という漢字も載っています。
「抉(こ)じ」というのは、動詞「抉(こじ)る」の連用形。
「抉る」を引くと「〔ふたを取ったり、あけたりするために〕すきまなどに物をさしこんで、強くねじるようにする」という意味が載っています。
おそらく「こじれる」とか「こじらせる」と同源の語だと思います。
さて、「こじつける」ですが、これも「抉る」と「付ける」の合成動詞と考えられます。
意味的にも、関係のないものを無理矢理すきまにつっこんで結びつけるような感覚ですので、間違ってはいないと思っていますが、市村宏さん全訳注の『風姿花伝』を読んでいると、「こじつけ」のぴったりな当て字(だと思います)を見つけました。
「故事付」
ものごとにちょっとした故事来歴を付けてみる。
「こじつけ」というと、少し非難されている感じがしますが、「故事付」と書くと、ちょっと遊び心が見え隠れするような気がします。
当て字というのは元来このようなものなのかもしれません。
風姿花伝 (講談社学術文庫)
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