最終回のタイトルは「不毛な怒りの静め方」。
ついカッとなってしまう方に対して質問を使ってそのプロセスを問う。
こういう質問力を身につけたいものです。
この記事を読んで、思い出したこと・思ったことが2点あります。
ひとつは「コンピテンス理論」について。もうひとつは「続ける力」について。
「コンピテンス理論」については、記事を読んだ後、『コーチングマニュアル』で名称を確認しました(「学習サイクル」という単語の方が頭に浮かんでいました…)。コンピテンス理論では、学習を4つの段階にわけて説明をしています。
「続ける技術」は、行動科学の石田淳さんの著書『続ける技術』のことです。
鈴木義幸さんの記事「不毛な怒りの静め方」では、「エモーショナルマネジメント(感情管理)」をテーマとしたコーチングの例が記されていました。ついカッとなってしまうエグゼグティブへのコーチングについてです。しばらくの対話で「時々、つい怒鳴ってしまう。その後は、気分があまりよくない。」という心うちを明かしてもらった後に次のような質問を投げかけます。
「どうやって自分を怒らせているんですか?」
怒ること、つまり感情は、無意識の内に起きるものなのかもしれませんが、ここでは自分が「起こすもの」と捉えられています。感情はコントロールできる、と。感情がコントロールできないのは、刺激(怒る原因)と行動(どなる、など)をつなぐ配線が強くつながってしまっているから。なので、その配線を分解してみようということを問いの力で行った例が記事の内容です。
配線の結びつきを強くすることから私が思い出したのが「コンピテンス理論」です。
■コンピテンス理論
コンピテンス理論では、学習を次の4つの段階にわけて説明しています。
- 無意識の無能
- 意識的な無能
- 意識的な有能
- 無意識の有能
「無意識の無能」とは、何かを知らないことに気付いていない状態。「意識的な無能」は、気付いているができない状態。「意識的な有能」は、意識していればできる状態。「無意識の有能」は、意識しなくてもできる状態。コンピテンス理論は、この4つの段階を経て学習していくという理論です。
「つい怒ってしまう」ことを学習理論と関連付けるのもどうか、とは思いますが、「つい怒ってしまう」ということは、「無意識に怒ることができる」と捉えることもできます。「つい~してしまう」という言葉には、後悔の念が入っていますので、実際に怒っているときは無意識となっています。
そこで「どうやって自分を怒らせているんですか?」という質問によって、無意識なところに意識を向けてもらう。
記事での例は、この学習理論(コンピテンス理論)の4つの段階を逆行させた例ではないか、と思った次第です。
もちろん、「つい怒ってしまう」というのを「無意識の無能」の段階と捉えてもいいかと思いますが、私はそれよりも先に「逆行している」ということを思いました。
■続ける技術
石田淳さんの『続ける技術』は、「ABCモデル」という行動モデルを用いて、行動を続けるためには(あるいは行動をやめるためには)どういったことをすればいいのかを説明した良書です。
ABCモデルは、先行条件(Antecedent)・行動(Behavior)・結果条件(Consequence)の頭文字から名付けられたモデルで、「何らかの先行条件があって行動を起こし、その結果を得る」という、考えてみれば当たり前のことのモデル。
例を挙げると、「暑いので(先行条件)、エアコンのスイッチを入れる(行動)。その行動(エアコンのスイッチを入れる)によって、涼しくなる(結果条件)」となります。
行動を増やす、あるいは減らすには、先行条件や結果条件をコントロールすること。これが「続ける技術」です。
ある行動を増やしたいと思ったら、先行条件や結果条件を整えて行動を起こしやすい環境を作る。行動を減らしたいと思ったら、先行条件を排除する、ライバル行動を減らすといった技術が書かれています。
日経ビジネスオンラインでの記事の例は「怒る」という行動を減らしたいと捉えることもできます。
減らしたい行動のことを「過剰行動」と『続ける技術』では呼んでいますが、「怒る」という過剰行動を減らすためには、どのように先行条件や結果条件を整えればいいのか、ということを思った次第。
私は、こういった理論とか、考え方は覚えていたり、何かの拍子で思い出せる(「コンピテンス理論」という名称は忘れていましたが…)のですが、これらの理論や考え方から相手に効果的な質問をさっと取り出すことができません。後から「こういう質問が効果的だったかな」とか「こうした方が良かったかな」とか思う始末。
学習段階としては「意識的な無能」の段階ですね。
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