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2012/06/20

わもんな言葉6-話聞一如

先日の「患者の身になる技法」を読んでいて、ふと思い出したことです。

思い出したといっても、はっきりとは思い出せず、世阿弥の『風姿花伝』の中に、役になりきるというような部分があったな、といった類。

で、探してきた言葉が以下です。

手元にある岩波文庫版の『風姿花伝』は校注のみで現代語訳がなく、また漢字も旧漢字で読みづらかったので、昨年出版された講談社学術文庫版『風姿花伝』も手元にあります(が、未読)。

該当の個所を探したところ、岩波文庫版は旧漢字、講談社学術文庫版はカナで書かれていました。

読みやすくするために、漢字を常用漢字(当用漢字?)にして、旧仮名遣いで引用します。
物真似に、似せぬ位あるべし。物真似を極めて、その物に、まことに成り入りぬれば、似せんと思ふ心なし。さるほどに、面白きところばかりを嗜めば、などか花なかるべき。例へば、老人の物真似ならば、得たらん上手の心には、ただ、素人の老人が、風流、延年などに、身を飾りて、舞ひ奏でんが如し。もとより、己が身が年寄りならば、年寄りに似せんと思ふ心あるべからず。ただ、その時の、物真似の人体ばかりをこそ嗜むべけれ。

例えば老人の物真似(演劇でいうと、老人の役)で、それを極めると、老人に「似せよう」あるいは「なろう」と思うような心がなくなる。

極めている人はもう老人そのものなので、老人に「なろう」という気がない、ということです。

その位を「似せぬ位」といっています。


そしてまたふと思い出します。

学習の理論だったか、モデルだったか忘れましたが、学習の段階として4つの段階があるということをが頭に浮かびます。

最初の段階は「無意識の無能」
簡単にいうと「できないことを知らない」状態です。

次の段階は「意識的な無能」
「知ってはいるができない」状態。

3つ目の段階は「意識的な有能」
「やろうと思っていたらできる」状態。

最後は「無意識の有能」で、
「無意識にできる」状態。


『風姿花伝』の「似せぬ位」と、学習理論(?)の「無意識の有能」がつながります。


前回記事の「患者の身になる技法」、話を聞くことに当てはめると「相手の身になる技法」の極みは、「似せぬ位」。

「わもん」でいうと「話聞一如」の状態です。




2012/02/04

会場一体の直感道場

さて、昨日(2/3)、日比谷図書文化館で行われた日比谷カレッジ「心を聞くコミュニケーション:「わもん」の世界(聞く&質問シリーズ第1回)」に参加した感想などを。


「大盤解説」は、やぶちゃんの聞き方を、本間先生が解説していくというスタイルです。

やぶちゃんが会場のどなたかを指名し、その方の話を聞く。

本間先生がそのやぶちゃんの聞き方を解説する。


この繰り返しだと思っていたのですが、予想していなかったことがいくつかありました。

ひとつは、やぶちゃんが話を聞く側ではなく、解説側に立ったこと。

そして、会場全体での井戸端わもん。


大盤解説を見たのは初めてですが、読んだり聞いたりして想像していた大盤解説とは異なるものでした。


全体の流れ。


まずはお1人目。

お芝居をされている方で、やぶちゃんとワークショップ前に名刺交換をされたというだけでやぶちゃんとは初対面の方。

やぶちゃんは直感でなにかあると感じていたとのことでのご指名。

やぶちゃんがその方の話を聞き込み、本間先生が解説。キーワードは「安心感」。

導入部分は想像通り。かといって私にはできませんが(^-^;)


お2人目。

こちらもやぶちゃんとは初対面の方で、日比谷図書文化館のポスターを見て参加された方。

この方の話を聞いている途中、やぶちゃんの聞き方レクチャーが始まりました。

3人目の方、ステージに登場。2人目の方が聞き手で3人目の方が話し手。

3人目の方は、自分で聞き上手との自覚があるものの何かある様子。

2人目の方の聞き方を、やぶちゃんが途中途中止めながら解説していきました。

3人目の方は、たしかに聞き上手かも。


4人目。

やぶちゃんの指名ではなく立候補。外国人の方。日本語もOK。

アグレッシブ(攻撃的という意味ではなく、積極的という意味)な方で、やぶちゃんとハイタッチ。


5人目からはやぶちゃんが話を聞く、というわけではなく、会場全体で話を聞くという雰囲気に。

5人目。記者の方。やぶちゃんがコンサルを務める小布施町役場での様子。

6人目。こちらもやぶちゃんがコンサルを務める会社の人事・研修担当の方。

7人目。高知から参加の医療関係の方。

聞き方だけではなく、場の整え方へとすすみ、本間先生の解説も場の話へ。


ここで、「井戸端わもん」。

小さなコンサート会場のようなホールで井戸端わもんが行われるとは思いませんでした。

場が整ったことからのやぶちゃんの直感ですかね。


そして最後に人生の岐路に立ちつつある会社員の方の話。


全体を通して感じたのは、やはりやぶちゃんの聞き方はすごいな、というもの。

コーチングでは「ペーシング」という言葉があります。

話し手の言葉やしぐさ、態度などを合わせていくことで話し手に安心感を与えて話しやすくするというスキルですが、やぶちゃんはそれが自然とできている。

学習理論か何かで、学習には「無意識的な無能」「意識的な無能」「意識的な有能」「無意識的な有能」という段階というような話がありますが、やぶちゃんは「無意識的な有能」の段階にあるな、と感じました。「ペーシングのスキルを持っている」というのは「意識的な有能」の段階ではないかと思います。

お1人目の話を聞くときは落ち着いた感じで、2人目の話のときは応援するように。

4人目の外国人の方とはハイテンションで。

最後の方は、私にとってはちょっとテンポが早いな、という話し方でしたが、それに普通に合っている。


書籍『わもん』には、「心の周波数を合わせる」という言葉があります。

その周波数の合わせ方を本間先生に解説してもらいたかったのですが、なかなか難しい。


やぶちゃんは直感型ですが、本間先生はたくさんの引き出しを持っておられます。

やぶちゃんの聞き方の解説を、私たちに伝わるように、いろいろな引き出しからいろいろなものを出されてきます。


本間先生とやぶちゃんが作りだした意識場は、すぐに会場全体に広がっていきました。

今まで数回、やぶちゃんの心徒塾に参加していますが、そこでの雰囲気に近くなりました。


この整った場の雰囲気、一体感が好きです。


来週は久々の心徒塾。

「直感道場」楽しみです。

2011/07/02

スキルアップのための行動の分解と自動化

「教える」とは何か?

先日の記事でも触れた石田淳さんの『教える技術』に次の言葉がありました。
「教える」とは、相手から“望ましい行動”を引き出す行為である

何かを教えるという場合、私は「知識」を教えることを真っ先に思い浮かべてしまいますが、「行動を引き出す」という考え方は、なるほど、と思います。

「知識」は知っていたとしても、使えなければ役に立ちません。

つまり、「教える」という行為には、知識を伝えることも含まれますが、その知識を使って「できる」ようになることまで含まれます。「行動を引き出す」までが「教える」という行為の範囲ということです。

ただ、「できる」という言葉もちょっと曲者です。

よく、スキルチェックをする際に、「~することができる(Yes/No)」のような項目がありますが、漠然としすぎて「できているのか、できていないのかわからない」と感じることがあります。

今回は、「(~することが)できる」と「教える」について考察してみたいと思います。

「○○ができますか?」という質問は、「はい(Yes)」か「いいえ(No)」かで答えることができる「クローズド・クエスション(Closed Question)」です。「Yes/No クエスション」とも言われます。(クエスチョン?クエスション?)

「はい(できます)」という場合、できることを証明するには、実際にやってみせることです。

A:「逆上がりができますか?」
B:「はい、できます」
A:「本当?やってみてよ」
B:(実際にやって見せる)

ところが、スキルチェックの項目では、曖昧になってしまっていることが多いと思います。

私はコールセンターに勤めていますので、コールセンターでのスキルチェックとして例を挙げると、
「クレーム対応ができる(Yes/No)」
というようなスキルチェック項目があります。

「クレーム対応ができる」と言われても、何ができれば「クレーム対応ができる」と言えるのか?

判断に迷うことがときどきあります。

「クレーム対応」がどんな行為なのか、が曖昧なんですね。

クレーム対応も実際にやって見せることはできます。ただし、やった本人が「できた」と思っていても、見た人は「できていない」と思うかもしれませんし、逆に本人は「できなかった」と思っても、見た人は「できている」と思うかもしれません。

クレームの内容によっても、「できる/できない」は変わってくるでしょう。

今までは、「クレーム対応ができる」というスキルチェック項目を評価する(される)ときには、事前にすり合わせを行ってから評価していました(してもらいました)。

しかし、『教える技術』の中にそれを解消するヒントがありました。

それは「分解する」ということ。

「クレーム対応」とは何か、どんなことか、ということを分解するのです。

例えば、SVとして「クレーム対応ができる」という場合、「オペレーターに代わって顧客対応ができる」とか、「顧客の話を共感しながら聞ける」とか、「顧客の怒りを収めることができる」とか。それでもまだ曖昧ですので、「顧客の話を共感しながら聞ける」ならば、「顧客の話をさえぎらず話すことができる」とか、「相槌を打つことができる」とか、スキルを細かく分解していくのです。

すり合わせでも同じことをやっているのですが、それがすり合わせの場でのみ機能していて、スキルチェック表には反映されていないので、次の機会にはまたすり合わせを行うことになってしまいます。

分解して、それを記録しチェックリストとして活用する。

そうすることで何度も同じことを繰り返しすることがなくなります。

『教える技術』では、
  • 「知識」と「技術」に分ける
  • 徹底的に分解する
など、行動を分解する際のヒントも多くありました。

そして、分解した行動のチェックリストにしたがって「教えて」いくのです。


また、別の本ですが、最近読んだ本で似たようなことが書かれていました。

斎藤孝さんの『「意識の量」を増やせ!』には、ゴルフの宮里藍選手の「太極拳スイング」というトレーニング方法が紹介されています。

「太極拳スイング」とは、通常のスイングなら3秒もかからないような短時間の行動を、太極拳のようにわざとスピードを落としてゆっくりと1分間ほどの時間をかけてスイングするという練習方法です。

ゆっくりとした動作でスイングすることで、身体のさまざまな部分に意識が働きます。どの筋肉がどのように動いているのか、重心は今どこにあるのか、など。一瞬のスイングの中では意識していないことも意識に上がり、身体の各位置や動きを丁寧に確認することができます。

これは、「行動を分解する」ことに非常に似ていると感じました。

以前、記事にも少し書きました(「感情・行動に対する理論と実践」参照)が、コンピテンス理論では、学習の段階を4つに分けて説明しています。
  1. 無意識の無能
  2. 意識的な無能
  3. 意識的な有能
  4. 無意識の有能
「太極拳スイング」という練習方法は、「無意識の無能」の段階から「意識的な無能」「意識的な有能」の段階へとステップアップするための高度なトレーニング方法だと思います。宮里選手ならば「無意識の有能」の段階にあるとは思いますが、さらに向上するために、ゆっくりとした動作でスイングすることで、スイングを分解し、分解した中で「無意識」となっていた部分を意識にあげてトレーニングをしています。

「教える」とは、相手を「無意識の無能」の段階から「意識的な無能」の段階へ、そして「意識的な有能」の段階へと上げていくことです。そして「無意識の有能」の段階になったときに、相手は、「教わった」と感じることができるのではないでしょうか。また教わった相手は「(~することが)できる」と自信を持って言えるのではないでしょうか。

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2011/06/23

感情・行動に対する理論と実践

日経ビジネスONLINEで連載されていた鈴木義幸さんの「人を動かす問いの力」。今回が最終回でした。

最終回のタイトルは「不毛な怒りの静め方」。

ついカッとなってしまう方に対して質問を使ってそのプロセスを問う。

こういう質問力を身につけたいものです。


この記事を読んで、思い出したこと・思ったことが2点あります。

ひとつは「コンピテンス理論」について。もうひとつは「続ける力」について。

「コンピテンス理論」については、記事を読んだ後、『コーチングマニュアル』で名称を確認しました(「学習サイクル」という単語の方が頭に浮かんでいました…)。コンピテンス理論では、学習を4つの段階にわけて説明をしています。

「続ける技術」は、行動科学の石田淳さんの著書『続ける技術』のことです。

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