家を立つるに木くばりをする事、直にして節もなく、見つきのよきをおもての柱とし、少しふしありとも、直につよきをうらの柱とし、たとひ少しよわくとも、ふしなき木のみざまよきをば、敷居・鴨居・戸障子と、それぞれにつかひ、ふしありとも、ゆがみたりとも、つよき木をば、其家のつよみつよみを見わけて、よく吟味してつかふにおいては、其家久敷くづれがたし。
真っ直ぐで節もなく見た目もいい木は表の柱に、少し節があっても真っ直ぐで強い木を裏の柱に、多少弱くても節もなく見栄えがいい木は敷居・鴨居・戸障子に、と、大工の棟梁は「木くばり」をします。
建てようとする家の強みを知り、それらに合わせて「木くばり」をする。
「適材適所」という言葉がぴったりきます。適した木材を適した所に。
さて、この「木くばり」ですが、音から「気配り」が連想されます。
「気配り」を手元の国語辞典で引いてみると、
ことが間違いなく行くように、細かいところに注意すること。
さらに「気配り」という字面から「気配(けはい)」も連想されます。
同じように「気配」を国語辞典で引いてみると、
何かがいそうだ(起りそうだ)と、かすかに感じられるようす。
「気配を感じる」というと、どちらかと言えば、あまりいい感じではありません。誰もいないと思っているのに、どこかにいそうな感じ。何かが起こりそうな感じ。
何かしらの気配を感じたら、気配りをする。
何かが起こってからでは、気配りはできません。
家を建てた後に「木くばり」をしないように。
0 件のコメント:
コメントを投稿