2012/02/24

木くばり

『五輪書』の「地の巻」に、兵法の道を大工に例えている一節があります。そこに、「木くばり」という言葉がありました。
家を立つるに木くばりをする事、直にして節もなく、見つきのよきをおもての柱とし、少しふしありとも、直につよきをうらの柱とし、たとひ少しよわくとも、ふしなき木のみざまよきをば、敷居・鴨居・戸障子と、それぞれにつかひ、ふしありとも、ゆがみたりとも、つよき木をば、其家のつよみつよみを見わけて、よく吟味してつかふにおいては、其家久敷くづれがたし。

真っ直ぐで節もなく見た目もいい木は表の柱に、少し節があっても真っ直ぐで強い木を裏の柱に、多少弱くても節もなく見栄えがいい木は敷居・鴨居・戸障子に、と、大工の棟梁は「木くばり」をします。

建てようとする家の強みを知り、それらに合わせて「木くばり」をする。

「適材適所」という言葉がぴったりきます。適した木材を適した所に。


さて、この「木くばり」ですが、音から「気配り」が連想されます。

「気配り」を手元の国語辞典で引いてみると、
ことが間違いなく行くように、細かいところに注意すること。


さらに「気配り」という字面から「気配(けはい)」も連想されます。

同じように「気配」を国語辞典で引いてみると、
何かがいそうだ(起りそうだ)と、かすかに感じられるようす。


「気配を感じる」というと、どちらかと言えば、あまりいい感じではありません。誰もいないと思っているのに、どこかにいそうな感じ。何かが起こりそうな感じ。


何かしらの気配を感じたら、気配りをする。

何かが起こってからでは、気配りはできません。


家を建てた後に「木くばり」をしないように。