2011/07/04

ピグマリオン効果

1964年、アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタール(Rosenthal, R.)は、サンフランシスコの小学校で、ある実験を行いました。

実験内容とその結果の概要は以下。(Wikipedia「ピグマリオン効果」より)
1964年春、教育現場での実験として、サンフランシスコの小学校で、ハーバード式突発性学習能力予測テストと名づけた普通の知能テストを行ない、学級担任には、今後数ヶ月の間に成績が伸びてくる学習者を割り出すための検査であると説明した。しかし、実際のところ検査には何の意味もなく、実験施行者は、検査の結果と関係なく無作為に選ばれた児童の名簿を学級担任に見せて、この名簿に記載されている児童が、今後数ヶ月の間に成績が伸びる子供達だと伝えた。その後、学級担任は、子供達の成績が向上するという期待を込めて、その子供達を見ていたが、確かに成績が向上していった。報告論文の主張では成績が向上した原因としては、学級担任が子供達に対して、期待のこもった眼差しを向けたこと。さらに、子供達も期待されていることを意識するため、成績が向上していったと主張されている。この詳細がまとめられた報告書は、Rosenthal, R. & Jacobson, L.:"Pygmalion in the classroom",Holt, Rinehart & Winston 1968として刊行された。

教師の期待が生徒の成績に影響を与える。

このことを「ピグマリオン効果」と呼んでいます。

(逆に、教師が期待しないことで学習者の成績が下がることを「ゴーレム効果」と呼ぶそうです。)

さて、この「ピグマリオン効果」の名前にある、「ピグマリオン」。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ピグマリオンはギリシア神話の中に出てくる人物です。「ピュグマリオン」「ピュグマリオーン」とも表記されます。(ここでは「ピグマリオン」と表記します。英語ではPygmalion)

以下、ピグマリオンの物語です。

オヴィディウスの『メタモルフォージズ(変身物語)』に載っているらしいですが、読んだことはありませんm(_ _)m 

また、(かなりの?)脚色を加えていますのでご了承ください。

物語の骨子はブルフィンチの『ギリシア神話と英雄伝説』を参考にしています。



ピグマリオン
キプロス王ピグマリオンは生涯独身でいようと決めた。
周りの女性には欠点が多すぎる。
容姿はよくとも性格が悪い。その逆も然り。
――完璧な女性はいないものか。
彼はそんなことを考える。

ピグマリオンは彫刻家でもある。
象牙で自分の理想の女性を創ったこともある。
周りの女性は――
――この作品に及ばない。
彼はそんなことを考える。

ピグマリオンは立像を眺めてみる。
そこには理想の女性が立っている。
しかし、動いてはくれない。
――この女性が生きていれば。
彼はそう考える。

ピグマリオンは立像を眺めてみる。
そこには理想の女性が立っている。
手を触れてみるも冷たい。
――この女性が生きていれば。
彼はそう考える。

ピグマリオンは彼女に服を着せる。
彼は彼女にプレゼントを渡す。
しかし、動いてはくれない。
――貴方に振り向いてもらいたい。
彼はそう願う。

ピグマリオンは彼女にあいさつする。
彼は彼女に話しかける。
しかし、反応はない。
――貴方の言葉が聞きたい。
彼はそう願う。

ヴィーナスの感謝祭。
ピグマリオンはヴィーナスに祈りを捧げる。
願わくば、妻としてお授けください。
――象牙の乙女に似た人を。
彼は祈る。

ピグマリオンは祈っている。
ピグマリオンは信じている。
彼は乙女に口づけする。

乙女は顔を赤らめた。

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