2020/06/27

漱石のホトトギスの俳句(メモ)

前回のつづき)

漱石全集に載っている俳句より、「ホトトギス(時鳥、郭公、子規)」が使われているものを以下に挙げる。ホトトギスは夏の季語で、漱石がホトトギスを使った句ではそのほとんどが季語として使われているが、1219だけは季語ではない(1219の季語は「蚤」)。俳句の頭に付いている数字は、漱石全集第17巻での俳句の通し番号である。
明治22年
1 帰ろふと泣かずに笑へ時鳥
2 聞かふとて誰も待たぬに時鳥
明治25年
38 鳴くならば満月になけほとゝぎす
明治28年
160 時鳥あれに見ゆるが知恩院
190 時鳥たつた一声須磨明石
191 五反帆の真上なり初時鳥
192 裏河岸の杉の香ひや時鳥
193 猫も聞け杓子も是へ時鳥
194 湖や湯元へ三里時鳥
195 時鳥折しも月のあらはるゝ
196 五月雨ぞ何処まで行ても時鳥
197 時鳥名乗れ彼山此峠
299 時鳥物其物には候はず
300 時鳥弓杖ついて源三位
513 明け易き夜ぢやもの御前時鳥
明治29年
528 時鳥馬追ひ込むや梺川
819 さもあらばあれ時鳥啼て行く
857 国の名を知つておぢやるか時鳥
868 琵琶の名は青山とこそ時鳥
明治30年
1130 浪人の刀錆びたり時鳥
1184 郭公茶の間へまかる通夜の人
1185 蹴付たる讐の枕や子規
1186 辻君に袖牽れけり子規
1219 逃すまじき蚤の行衛や子規
明治33年
1807 京に行かば寺に宿かれ時鳥
1819 貧乏な進士ありけり時鳥
明治35年
1844 病んで一日枕にきかん時鳥
明治37年
1891 十銭で名画を得たり時鳥
明治40年
1955 時鳥厠半ばに出かねたり
全部で29句。内訳は「時鳥」24、「子規」3、「ほとゝぎす」1、「郭公」1であり、基本は「時鳥」であるといってもいいだろう。

「子規」「郭公」が使われている句が、明治30年に固まっているのには、なにかわけがあるのだろうか。俳句以外の例では、作成時期を考慮していなかったので、詳細を確認する際に合わせて確認したい。

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