助詞だけでなく、言葉を巧みに操りたいと思うのです。
言葉巧みに人を操りたいのではありません。
今読んでいる、高野登さんの新書『リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ』の中で次の話がありました。
「学校に行ってきまーす」と「学校へ行ってきまーす」の違いの話です。
…「学校に行ってきまーす」というときには、何をしに行くのかの目的があります。もちろんそれは、勉強や運動等々、学ぶために行くわけですから、「おお、しっかり勉強してこいよ!」と声をかけ、子どもを送り出すことができます。
一方、「学校へ行ってきます」には、明確な目的がありません。「へ」は場所や方向をさしているだけだからです。ですから、「おお、学校へ行くのか。何しに行くんだ? 今日、何かあるのか?」ということにもなってしまいます。…
この箇所を読んだときに、「そうそう、助詞の違いだけで意味は変わる」とあらためて思いました。
「どこに行くの?」と問われて、「遊びに行く」とは言えますが、「どこへ行くの?」と問われて、「遊びへ行く」とは言えません。
私の受け答えの中で、ひとつの定番のようになっているものが、助詞の「は」によるものです。
例えば、「今日は元気だね」と声をかけられると、ほとんどの場合、笑いながら、「今日も、元気です(笑)」と答えます。
「今日はかっこいいね」
「今日はきれいだね」
「今日は素直だね」
など、今日「は」と言われてほめられたりすると、うれしくもあるのですが、「んじゃ、いつもはどうなんだ?」と思ってしまうのです。
別に言っている相手は悪気があって言っているわけではないことも知りつつも。
「は」という助詞は、主題を表わす助詞としても使いますが、対比を表わす助詞でもあります。
今日は、と言われると、私は、今日以外と対比して考えてしまいます。
「今日は特に素敵ですね」とか言われると、返す言葉がなく嬉しく思います(笑)。
一方で、よく無意識に使ってしまって「また言ってしまった」という助詞もあります。
「で」という助詞です。
「これでいいです」など。
「これでいいです」と言うと、何だか妥協してこれにした、というようなニュアンスに感じます。
「これがいいです」と言えば、何だかベストな感じがして、できるだけ「で」ではなく「が」を使おうと思うのですが、口から出た後に「ここは『が』を使うところだった」と思ってしまいます。
そんな細かいことを…、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな細かいところが気になり、私は面白いのです。
『リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ』は、タイトル通り「ホスピタリティ」をテーマにした本です。
細やかな言葉遣いに気を配ることも、ホスピタリティ、おもてなしにつながります。
助詞力を上げると、女子力も上がるかもしれません。
リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ (角川oneテーマ21)
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