なぜスターバックスがこのセイレーンをトレードマークにしているのか。以下のサイトに、スターバックスの社名の由来と、セイレーンにたどり着いた様子が書かれていた。人びとがセイレーンに誘われてコーヒーを買うだろうという期待が込められているらしい。
Gigazine:「スターバックスコーヒーのロゴはどうやってデザインされてきたのか」がよく分かるムービー(以下の動画の日本語解説記事)
スターバックスのホームページを確認したが、ロゴやトレードマークに関する記述は見つけられなかった。しかし、下のサイトでスターバックスの広報さんの話が出ているので、スタバの公式見解でもあるのだろう。
マイナビニュース:スターバックスコーヒーのロゴデザインに隠された秘密 -広報さんに聞いてみた
サイレンは、コーヒーの魅力、そして航海を想起させることから、スターバックス、そしてスターバックスのコーヒーを具象化している存在です。また、サイレンはとてもきれいな歌声で船乗りを魅了したといわれています。同じように、スターバックスも多くの人々を魅了したい、そんな想いも込められています。
スタバは人々を魅了する。誘惑する。
その誘惑から逃れるためにはどうすればいいか。
オデュッセウス(英語名ユリシーズ)を見習うのがいいかもしれない。
ホメロスの叙事詩『オデュセイア』に、トロイア戦争が終わり、英雄オデュッセウスが故郷イタケに帰るまでの冒険譚が書かれている。その冒険譚のひとつに、オデュッセウスがどのようにセイレーンの誘惑を逃れたかが書かれている。
オデュッセウスは、魔女キケローからの助言もあり、家来や水夫たちの耳を蜜蝋で塞ぐ。そしてオデュッセウス自身は家来たちに、自分を船のマストに縛りつけ何があってもほどかないように命じた。
セイレーンの住む島に近づき、セイレーンたちが歌うも、水夫たちには聞こえず誘惑されることはない。オデュッセウスは美しい歌声に魅了されるが、マストに縛られているため身動きはできず、狂って海に飛び込んだりなどすることはなかった。
ここで疑問に思うことは、なぜオデュッセウスは自分の耳を蜜蝋で塞がなかったのだろう、ということだ。家来に塞いでもらってもいい。耳を塞ぐという選択肢をなぜ採らなかったのか。
思うに、オデュッセウスは、セイレーンの歌声を聞きたかったのではないか。何人をも魅了する美しい歌声を聞きたかったのではないか。
だとすれば、スタバの誘惑には負けてもいい。魅了されてもいい。
狂わなければ。
スタバの魅力はヴィバレッジやフードなどの美味しさにもあるが、店内の居心地の良さにもある。静かではないが騒がしいことはなく、座り心地のいいソファのような椅子があり、落ち着いた雰囲気のレイアウトがなされている。一度座ってしまうと時間の許すかぎり居座ってしまう。スタバというブランドの価値もある。
ふらっと立ち寄るのはいい。待ち合わせに使ってもいい。Macを持って「ノマド」的に過ごすのもいい。しかし、溺れてはいけない。
そんなことを思いながら、僕はスタバへと向かった。
(おまけ)セイレーンの後ろ姿
What the Starbucks lady is actually doing from r/funny
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