通常なら無視できると思われるような極めて小さな差が、やがては無視できない大きな差となる現象のことです。
さて、『荘子』の中でも有名な文章のひとつ。
斉物論篇にある「胡蝶の夢」です。
昔者、荘周、夢に胡蝶と為る。荘周(荘子)が蝶になった夢を見たときのこと。
栩栩然として胡蝶なり。
自ら喩みて志に適うか、周なることを知らざるなり。
俄然として覚むれば、則ち蘧蘧然として周なり。
知らず、周の夢に胡蝶と為るか、胡蝶の夢に周と為るか。
蝶は楽しく飛びまわり、自分が荘周であることを知りません。
ところが、目を覚ますと自分は荘周。
果たして、荘周が蝶となった夢を見たのか、蝶が荘周となった夢を見たのか。
夢の中での蝶の羽ばたきは、荘周にどのような影響を与えたか。
荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1)