NHKニュース「原発事故 検証委員長に畑村氏」
政府は、24日の閣議で、東京電力福島第一原子力発電所の事故で「事故調査・検証委員会」を設置することを決め、委員長には「失敗学」で知られる東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏を起用することになりました。
「事故調査・検証委員会」は、福島第一原発と福島第二原発の事故原因を究明するために調査や検証を行って被害の拡大を防ぐとともに、事故の再発を防止するための政策提言を行うもので、24日の閣議で設置が正式に決定されました。これを受けて、菅総理大臣は検証委員会の委員長に「失敗学」で知られる東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏の起用を決め、仙谷官房副長官が発表しました。畑村氏は70歳。東京大学工学部の教授を経て、過去の失敗の背景や組織的原因を究明し、再発防止に役立てようという「失敗学」を提唱して、平成14年には「失敗学会」を設立して理事長を務めています。これまでに、JR西日本の福知山線脱線事故や六本木ヒルズの回転ドア事故など、数多くの事故を調べてきています。委員会のそのほかの委員についても、検証を中立的な立場から多角的に行うために、これまで原子力行政に携わった経験がある人などを極力避けて人選し、できるだけ早く検証作業に入り、年内に中間報告を取りまとめたいとしています。これについて、仙谷官房副長官は、記者会見で「国民の目線に立って開かれた中立的な立場から徹底的に検証を行い、その結果を国内外に明らかにしていく必要がある。東京電力をはじめ、関係の行政機関や、総理大臣を含めた閣僚の行動も聖域なく対象として幅広く検証する」と述べました。
現状の事態の収拾が優先とはなりますが、今後同様なことを起こさないためにも、畑村さんには期待しています。
畑村さんのことは、実は私はあまり知らないのですが、畑村さんの著書『失敗学のすすめ』を読んだことがあります。
そこで提唱されている「失敗学」。
失敗の特性を理解し、不必要な失敗を繰り返さないとともに、失敗からその人を成長させる新たな知識を学ぼうというのが「失敗学」の趣旨なのです。別のいい方をすれば、マイナスイメージがつきまとう失敗を忌み嫌わずに直視することで、失敗を新たな創造というプラス方向に転じさせて活用しようというのが「失敗学」の目指す姿です。
畑村洋太郎『失敗学のすすめ』(講談社文庫)
『失敗学のすすめ』には、失敗情報が伝わらない(伝わりにくい)例として、三陸海岸の石碑の話が出ています。その話がYouTubeでもUPされています。
"TSUNAMI" 失敗は伝わらない
今回の地震でも津波による被害が甚大。
石碑に書かれている「ここより下には家を建てるな」という旨のメッセージがきちんと伝わっていれば…、とも思いますが、万が一のリスクと、日ごろのコストを天秤にかけたものだと思いますので、一概に良い悪いの判断は私にはできません…。
ただし、万が一のときのための備えも必要です。
失敗学では、失敗を0(ゼロ)にすることを目的としていません。「失敗の法則性を理解し、失敗の要因を知り、失敗が本当に致命的なものになる前に、未然に防止する術を覚える」ことが大切です。
失敗情報の特性として、「伝わりにくい」「時間が経つと減衰する」「隠れたがる」「単純化したがる」「変わりたがる」「神話化しやすい」「ローカル化しやすい」などが挙げられています。
なんとなく、東電や政府の福島原発への対応に当てはめてしまいそうになります。対応について、全てが失敗だったとは思ってはいないのですが。
失敗したところは失敗と認め、今後致命的な失敗を繰り返さないようにすることが求められていると、私は思っています。
「検証委員会」の委員長として畑村さんを起用したことに、期待しています。
是非、今回の原発事故についての知識化した記述として政策提言をお願いします。
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