ウンベルト・エーコ『バウドリーノ(上・下)』(岩波文庫)
まだ読んでいない。
ウンベルト・エーコは好きな作家のひとりである。単行本を買うまではいかないが、文庫本が出るとつい買ってしまう。単行本も文庫本もこれからどのような本が出るのかということは積極的にチェックはしておらず、本屋で見かけた場合という条件がつく。
名古屋駅に用事があったので出かけた。用事が終わり、帰るには少し時間があったので4月にオープンしたタカシマヤゲートタワーモールの三省堂書店名古屋本店に行ってきた。
大きな本屋であるかどうかの判断基準として、売り場面積や書籍数という基準もあるが、岩波文庫・岩波新書の冊数がどれだけあるのかというのも参考になると思う。岩波書店は買取制で本屋に卸しているため、岩波書店の本を多く取り扱っている本屋は買い取り資金があるということであるし、そのために売り場を設けるということは広さも十分あるということになる。文庫や新書は出版社別に並べられることが多い。
そのため、本屋では岩波文庫・岩波新書の棚をチェックする。小さな本屋では岩波文庫を置いていないところも多い。三省堂書店でも同様に岩波文庫の棚に向かった。
『パウドリーノ』は岩波文庫の棚で目立っていた。岩波文庫にしては珍しいカバーデザインだったからである。もともとエーコの小説は好きであるし、岩波文庫の本は次に出会う確率も少ないので「買い」である。
家に帰って本を取り出すと、カバーが少しズレていた。直そうとしたところ、カバーが二重になっていたことに気づき、一枚めくってみるといつもの岩波文庫のカバーが出てきた。
目立っていたカバーは、文庫本大の帯なのかもしれない。しかし、どちらのカバーにもカバーデザインをされた方の名前が入っていて、図版は異っていたので、少なくとも岩波書店としてはカバー扱いであろう。
内容は読んではいないが、『バウドリーノ』は、カバーの文言から『中世騎士物語』を題材にしているようである。『中世騎士物語』はブルフィンチが書いたものを読んだことがあり、アーサー王物語や聖杯伝説などが思い起こされる。エーコの『薔薇の名前』や『フーコーの振り子』などは他に参照する本が手元になかった。しかし、今回の『バウドリーノ』は、手元にブルフィンチの『中世騎士物語』があるため読み比べていくことになるかもしれない。