2017/02/20

小田原市は神奈川県にある(前編)


大学生の頃まで、小田原市は東京よりも東、茨城県あたりにあると思い込んでいた。アルバイトがきっかけで、あらためて小田原は東京よりも西にあることを知った。

愛媛で生まれ育ち、大学入学をきっかけに大阪で一人暮らしをはじめた。関東に親類縁者はおらず、小田原には行ったことがない。小田原という地名は、鎌倉時代の北条氏の拠点だということで知っていた。しかし場所ははっきりと覚えておらず、小田原は東京の向こう側、太平洋に面したあたりにあるというイメージだった。間違って覚えていても、小田原に縁もゆかりもなかったため、何の支障もなかった。

大学生のときに、新大阪-東京間を往復する間にワゴン販売をするアルバイトをしたことがある。新大阪で新幹線に乗り東京まで行き、東京からまた新幹線で戻ってくる。ひかり号に乗ることが多かった。

小田原駅に停車するひかり号に乗ったとき、「ここが小田原?」と不思議に思った。同じバイト仲間に「小田原はもっと(東京よりも)向こうじゃなかった?」と聞くと、怪訝な顔をされた。

あらためて考え直すと、箱根駅伝で小田原中継所があるくらいは知っていて、小田原が神奈川県にあるという知識はあった。大阪からみれば、神奈川県は東京よりも手前にあることも知っていた。新幹線の路線図を見ても、間違いなく「小田原、新横浜、東京」の順だった(バイトをしていたときはまだ品川には停まっていなかったと思う)。なぜ小田原市は東京よりも東、茨城県あたりにあると思い込んでいたのか。その理由はわからなかった。別に知る必要性もなかった。

しばらくたってから、北村薫さんの『空飛ぶ馬』を読んだ。その中の「織部の霊」を読んだとき、小田原は東京より向こうにあると思い込んでいた理由がわかった。

(続きは後編にて)