2012/07/06

不完全性定理(2)

前回はこちら

さて、まずは「プリンキピア・マテマティカ」とは何か?です。

不完全性定理や数学史をご存知の方は知っているかと思いますが、「プリンキピア・マテマティカ」というのは、アルフレッド・ホワイトヘッドバートランド・ラッセルの共著『プリンキピア・マテマティカ』(Principia Mathematica:数学原理)のことです。

1910年~1913年に出版された数学の基礎に関する全3巻の大著です。

当然(!?)未読です。

未読ではありますが、『プリンキピア・マテマティカ』は、数学を論理で表現しようする試みです。


この時期の数学界は非常に論争が多かったようです。

全体的な流れとして、数学の厳密化、算術化がすすみます。

そして、大きな事柄としては、カントールの集合論の台頭があります。


カントールの集合論は「無限」を扱います。

「無限」を取り扱うことで、もちろん様々な恩恵があるのですが、一方で様々な矛盾(パラドックス)が発見されていきます。

カントール自身も、「カントールのパラドックス」を発見します。そして、ラッセルも「ラッセルのパラドックス」を発見します。


パラドックスの内容はさておき、基礎部分が揺らぐと数学全体が危ない、ということで、この時代に「数学基礎論」が発展します。

『プリンキピア・マテマティカ』もその流れのひとつです。


ゲーデルの論文「プリンキピア・マテマティカおよびその関連した体系の形式的に決定不能な命題についてⅠ」の第1章は「概説」にあてられていますが、冒頭は以下のようなものです。
 数学は一層の厳密性を目指して進化し、周知のように、その大部分を形式化するにいたった。すなわち、僅かな機械的規則によって証明が実行できるような数学の形式化が達成されたのである。
現在までに構築された形式系のうち、もっとも包括的なものは、一方では、プリンキピア・マテマティカの体系(以下、PM)であり、他方では、ツェルメロ-フレンケルの集合論の公理系である(後者はJ.フォン・ノイマンが更に発展させている)。
数学が形式化され、構築された形式系のひとつとして「プリンキピア・マテマティカの体系(以下、PM)」が挙げられています。

これらの体系の中に「形式的に決定不能な命題」がある、というのが、ゲーデルの論文の主旨です。

では、「形式的に決定不能な命題」とはどんなものか?

それはまた次回に。