2013/04/06

わもんな言葉37-Elephant in the room

こんな夢を見た。

宮殿の一室に一匹の象がいる。部屋の隅に四足で立っており、大きな置物と見間違ってもおかしくないほどほとんど身動きをしない。室内には数名の人がいて、象がいることにおそらくは気付いている様子だが、取り立てて珍しく眺めたり話題にあげたりはしていない。

何となくさびしそうである。

そのうち、数名の盲人が部屋に入ってきた。一人が象の鼻を撫で、「木の枝のようだ」と言った。またある者は耳に触れ、「否、これは扇だ」と評した。腹を触った盲人は「壁のようだ」と言い、牙を撫でた者は「パイプのようだ」と、あれやこれやと言っている。

近くにいた者がこのやりとりを聞きつけ、「これは象です」と伝えた。何でも、子どもの頃は気性が荒かったのだが、訓練によっておとなしくさせたという。訓練といっても鎖をつけていただけである。

象の足に鎖をつなぎ、子どもの象では動かせない杭にその鎖をつなげておく。最初のうちは、鎖を引きちぎろうとしたり、杭を引き抜こうと四苦八苦するものの、それが無理とわかるとあきらめてしまう。あきらめた象は、鎖をつなげられただけで引きちぎれないものだと認識し、逃げようとしないということらしい。見ると部屋にいる象にも足に鎖がついている。

盲人たちは感心しながら聞いている。「なるほど。これは象なのか」「力強いと思っていたが案外おとなしいものだ」など。そして、「やはり人間は象よりも賢いな」と。

すると、別の方向から男の声がした。「象は賢い動物ですよ」

その男が言うには、象は今まで自分の身に起ったことを全て覚えているくらい記憶力がいい、という。鎖につながれておとなしくしているのは、あきらめたわけではなく、そうすることが象にとって一番いいと感じているからそうしているだけだ、とも。

そうして部屋のあちらこちらで象の話が持ち上がってきた。ある人は象を撫で、またある人は象に話しかけ、その部屋にいる誰しもが象と戯れるようになった。

象も喜んでいるように見えた。

とても大きく力強いにも関わらず、鎖につながれおとなしくしている。しかし、部屋の誰しもが話題にして戯れることで、活き活きとしてくる。

誰かが冗談交じりに、この象を「理想像」と呼んだ。


わもん -聞けば叶う
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