行き(下り)は『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)。
この本は、文庫本発売当初に買っていたにも関わらず積読になっていました。しばらくして、「あ、まだ読んでない」と、買っていたことを忘れて2冊目を購入した本のひとつ…。帰省の際に読んで、1冊は実家に置いて帰ろうと目論んだものです(笑)
その中の一編で印象に残っているものは「冷凍みかん」。ジャンルとしてはSFで、発想がおもしろく、興味深く読めたのはもちろんなのですが、このタイトルを見たときに、「そういえば、冷凍みかんって見たこともないし、食べたこともないな」と思ったため印象に残っています。さて、冷凍みかんはまだどこかに売っているのでしょうか?
帰り(上り)の移動中は『不連続の世界』(幻冬舎文庫)。
こちらは、帰りの電車中に読む本がないかな、と帰省先の本屋で眺めていると見つけて購入したもの。2冊目ではなかったです(笑)
こちらの短編集(中編集?)は、同じ幻冬舎から出ている長編『月の裏側』の登場人物が主人公。帰りに読んだからかもしれませんが、こちらの短編集の方が印象に残っています。しかし、この本の内容というよりは、この本を読んだ感想を含む自分自身のイメージの方が印象に残った感じです。
『月の裏側』も読んだことはありますが、すみません、内容は忘れてしまっています。しかし、柳川を舞台としていたこと、そして「粘着質な水」のイメージは覚えています。
私は、小川とか川のせせらぎといった、なんとなくさらさらとした水の方は好きなのですが、淀み溜まっているような水はあまり好きではありません。言葉からなんとなく嫌なイメージが湧きますね。(「湧く」という言葉のイメージは好きです。)『月の裏側』は、その嫌な方の水のイメージです。
水が生き物のように蠢く様子、粘り気があるような水。
京極夏彦さんの小説にも、何かそんな水の描写があったように記憶しています。
そして、『月の裏側』で連想してしまうのが、Pink Floyd。
Pink FloydのCDアルバムに『Dark Side of the Moon』というのがあります。ちょうど恩田陸さんの『月の裏側』を読んでいる前後に買って聞いていたCDです。『Dark Side of the Moon』を訳せば「月の裏側」ともいえると思いますが、日本語のCDタイトルは『狂気』。ライナーノーツには月と狂気の関係が書かれていたように思います。
『月の裏側』は、水郷柳川のイメージ(柳川には行ったことがありません…)と「狂気」のイメージとが合わさったイメージで記憶に残ってしまいました。水の狂気。
『月の裏側』で、『不連続の世界』の主人公、塚崎多聞がどのような役回りをしていたのかも覚えていません。しかし、『不連続の世界』を読んでいるうちに、イメージが独り歩きしてしまいました。
多聞の連想には脈絡がないとよく言われる。あんたって、あれね、クリスマスツリーの豆電球。点滅状態。ぱっと消えたかと思うと、ぱっと別の色の電球が点いているの。
浮かんでは消える。方丈記の一節、「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて(だったかな?)」を連想します。淀んだ水のイメージが、またここにも。
大分県の地獄めぐりのひとつ「泥地獄」を思い浮かべてしまいます。
『不連続の世界』で、多聞は行く先々で謎を解決(?)していきます。しかし、最後の一編では少し趣が違う。
なんとなく、川の流れを想像しました。
水流に流されつつも動き流れていく様子。そして最後の一編は川のカーブのところで流れに身を任せつつも、一か所にとどまっている様子。そんなイメージです。あるいは、小学校か中学校の時に地理の授業で三日月湖のできる様子を表わした図がありましたが、そんなイメージです。
そういえば、恩田陸さんの小説に『蛇行する川のほとり』というのもありましたね。
積読ですが…(笑)
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