「アーニーの処理系の問題がよくわからない」
「いきなり何?」
「うん、この本の問題なんだけど――」
僕は読んでいた本を見せた。本のタイトルは『スマリヤンのゲーデル・パズル』。「論理パズルから不完全性定理へ」という副題がついている。
この本は副題のとおり、論理パズルなどの問題を解きながら、ゲーデルの不完全性定理のイメージや本質を理解しようという類をみない本だ。
以前に1度読んだことがあるが、問題を解かずに読んだだけであったためほとんど頭には入っておらず、今回は問題を解いていきながら読み進めていこうと思っている。いま読んでいたところは第9章で、「不動点パズル」という章題がついていた。
「――解答ページをみると、なるほどと思うんだけど、解き方というか、考え方がいまひとつつかめていない感じがするんだよね」
「答えがわかって納得できていれば、それでいいんじゃない?」
「うーん、それでもいいんだけど、納得できてもまだ理解できていない感じが強いんだよ。たとえば、キミに説明することができるかどうかあやしいし、次にもう一度同じ問題に取り組んだとしても解けるかどうかわからない。まあ、それができたとしても人生の役には立たないのかもしれないけど――」
人生の役には立たないのかもしれない――と、役に立つ可能性を否定はしなかったが、役に立つ可能性は極めて少ないと僕は思っている。不動点パズルが解けたところで、誰がどうなるわけではない。解答がわかっている問題であるので、何か新しいものを発見するというわけでもない。
ただ、僕にとっては少しだけ意味がある。理解することができれば、僕のなかにあるモヤモヤを少し消すことになる。「不動点パズル」もそうだが、その先にある「ゲーデルの不完全性定理」も、わかるようでわかっていないもののひとつであり、少しずつでもいいから理解を深めていきたいと思っている。
「――だから、ちょっとキミに聞いてもらいながら、このアーニーの処理系の問題、不動点パズルについて考えてみたいと思ったんだけど、いいかな?」
僕はキミの反応を待った。
(つづく)
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