2011/02/19

触媒のアナロジー

久しぶりに外山滋比古著『思考の整理学』を読み直しました。

10年ほど前に1度読んだことがあるのですが、それからずっとほったらかし…。で、昨年末頃に、何がきっかけなのかは忘れてしまいましたが、話題に出てきて、「そういえば1回しか読んでないな」と思い、家の中を探していたのですが見つかりませんでした。

1度読んだときから今までの間に3回引越しをしているので、引越しの際に処分をしてしまったのかもしれません…。

というわけで、買い直しました。

再読してまず思ったことは、「読みやすく、わかりやすい」ということ。

1度目は、『思考の整理学』というタイトルに魅かれ購入しました。大学生になってしばらくして、色々なことを学ぶうちに自分の頭の中も整理したいと思い、情報の整理のしかたとか、KJ法のこととかの本を読み漁っていた時期のことです。PCも使い始め、情報のデータベースを作りたいと思っていた時期でもあります。

なので、『思考の整理学』というタイトルから、さまざまな思考方法の分類とか、情報整理の本と思っていました。そして、読み始めたところ、何か違う…、拍子抜けしてしまった、というのが初読の感想でした。そしてそのまま10数年…。

今回読み直してみて、この本は、非常に考えられたエッセイの類と、認識を改めました。気付くのが遅いですが…

そして感じたのが「比喩」「アナロジー」の力です。



実際、この本には「アナロジー」というタイトルの章もありますし、最初の「グライダー」の章では、「グライダー」と「飛行機」というアナロジーを用いて、「受動的な学習」と「創造・発明・発見」についての考えが展開されていきます。

一番、興味を魅かれた章は「触媒」。

ここではT・S・エリオットの「インパーソナル・セオリー(没個性説)」のアナロジーが紹介されています。
詩の創造に際して起るのは、酸素と二酸化硫黄(亜硫酸ガス)とのあるところへ、プラチナのフィラメントを入れたときに起る化学反応に似ている
後年、この化学的知識は正確でないと言われたのですが、アナロジーの大きな力を感じました。

自分が知っている知識でいうと、過酸化水素水に二酸化マンガンを入れて酸素に生成する実験に似ています。このときの二酸化マンガンが触媒として機能しているかどうかは調べてはいませんので確かではないですが、この化学反応での化学式には二酸化マンガンの化学式(元素記号)は入っていなかったと記憶しています(後で調べてみよう)。

話をもとに戻すと、エリオットは、詩の創造、詩人の個性について、詩(あるいは詩人の個性)は触媒のようにあるべきだ、と述べているわけです。読み手に化学反応を起こさせる、そういった詩がいい、というわけです。


人との出会いは大切であることは古今東西で言われていることですが、触媒のアナロジーを用いるならば、人との出会いは触媒に触れることに他ならないと思います。出会った人が触媒になって、自分自身に化学反応が起こる。それを成長とみるか退化とみるかはまた別の話になりますが、これからも触媒となりうる人とは会ってみたいですし、また自分自身が触媒となる人物になりたいと思っております。

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